大罪の歌唱偶像外伝・n+0.5シリーズ
セカイノ/ネコノカンリニン
第4.5話・Untitled
……ここは何処?
何故私はここに居る?
ふと気付く。あぁ、また戻ってきたのだと。
これは、私の壮絶なる過去の話だ。戻ってきたんだ。ちょうど良いさ。
まずは…そうだ。あの頃の話をしよう。
――私の名前は…そうだな…『トキ』とでも呼んでもらおう。そして私はある名家の四兄妹の末っ子として産まれた。しかし、それだけだ。あとは殆どない。
私は、小汚い路地裏に段ボール箱に入れられていた。そこには私の名前と「拾ってください」の文言が書かれていたらしい。
その後、私はマフィアに拾われた。そこで愛情を注がれ育ってきた…と思っていた。しかし、実際は違った。事実は、顔だけはいい私を風俗に売るため、育ててきたというのが真実だった。
そして、一向に10代の体から成長しない私に目をつけた奴等は、売る前に自分たちの玩具として使おうと言い出し、私は、四六時中奴隷の様に扱われた。正直、気が狂いそうだった。それは、自分の中に流れている名家の血が、穢されるのを嫌がっているのか。はたまた自分が拒絶していたのかは定かではないが、後者だとは思う。
しかし、そこで転機が訪れた。なんと、奴等が使っていた『想像力』とかいう不可思議な能力が、私にも使えるようになったのだ。名前は分からないが、能力は「時を切り取り、様々なパターンを試す能力」だった。
そこで、私は考えた。この「時を切り取る」とは、単純に、どのような意味なのだろうか、と。恐らくだが、動画のように一部分を写して延々とループさせるものなのではないかと。そして、範囲は無限ではないのだと。
試しに、今私を嬲っている奴に範囲を絞り、時間指定を今から一秒後と今を繰り返す、と設定してみた。すると、動作が拳を振り下ろし、私の顔面に届く直前で拳が振り下ろされた位置に戻った。これは大成功だと思い、外に出た。しかし、この判断が後の最悪な自体を引き起こしてしまう。
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