17




「はあ……」

溜まった疲れを吐き出すようなため息に顔を上げそちらに目を向ける。荒木さんが額の汗を拭いたところだった。

「暑いね……」

「そうだね」

荒木さんは八月の青い空を見上げ、僕もそれを真似る。海みたいに真っ青な空に、ソフトクリームのような雲がぷかぷかと浮いていた。

「キリがないよ、こんな広い公園」

荒木さんは立ち上がって辺りを見回した。午前中からずっと作業をしているおかげで、敷地の半分は除草が終わっていた。しかしこのペースだと明日も朝から草むしりかもしれない。

この地区の住人は毎年この場所で納涼祭を行うらしい。いつもは自分達で草を刈るのだが、去年熱中症で倒れた子供がおり今年の草刈りにクレームが出たそうだ。なので僕らのところに依頼が来たというわけだ。

「あ、店長帰ってきたみたいだよ」

荒木さんは公園の入口付近に停まった軽トラに手を振った。店長は近くのゴミ捨て場までゴミを出しに行っていたのだが、車の運転が出来さえしたら僕はあの係がよかった。それにしても、朝行った時より時間がかかっていた気がする。

「二人とも進んでる?コンビニでアイス買ってきたから休憩しよう」

店長がコンビニ袋をぶらぶらさせながら放った言葉に、荒木さんと僕は黙って飛び付いた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る