第46話草原



ここは広大な草原だ。

しかし普通の草原でなかった。


毒の鱗粉りんぷんを撒き散らす毒蛾どくがが草の甘い蜜に誘われている。

フワッと着地して蜜をすすりだす。


その蛾を狙うのは食虫植物。

音に敏感な食虫植物は、ツタをシュルシュルと放つ。

危険を察知した蛾は飛び立つ。

しかし伸びるツタで飛んでいる毒蛾をキャッチ。

ギュウギュウと絞めつけて、弱った頃合に大きな口に入れる。

そしてジワジワと体内に吸収。


そんな凶暴な食虫植物をブラックバッファローは、踏みつけて引き千切る。

そして長い舌で巻きつけてからムシャムシャと食らっている。


食虫植物は、ブラックバッファローの大好物であった。



そんな光景を俺は見てた。

穴から這い出した将軍蟻が話しかけてきた。


『神よ・・・ここが新たな狩場でしょうか・・・』


「ああ、そうだ。あのブラックバッファローに勝てそうか・・・」


『簡単に倒せます』


すでに兵隊蟻が動き出した。

ブラックバッファローは体長が4メートルもあった。

そのブラックバッファローを兵隊蟻が群がる。

必死に足で踏みつけるが平気な蟻達。

大量の出血でよろけ出して「ドン」と倒れる。


最後の「モーーー」と鳴き力尽きた。



「ゲートは自衛隊が占領してるから・・・悪いけど引越しだ。ここなら6ヶ月間の獲物にも苦労はないだろう。そう思わないか・・・」


『女王さまも成長して休眠期に入ったので、1年はもつでしょう』


「え!そうなの・・・後を頼む」


『神の御心のままに・・・』


ああ、深く御辞儀してるぞ。

そんな将軍蟻を残して瞬間移動。



我が家に戻った俺は、リビングのソファーに寝転ぶリサを見た。

俺が帰ったことに気づき起き上がってきた。


「もう大変だったわ・・・ケット・シーのあやふやな情報で探すなんて」


「それで見つかったのか「深層のダンジョン」」


「見つけ出してからのスケルトンの移動も大変だったわ」


「中の魔物はどんな奴だった」


「わたしは、入らなかったわ。入ったのは彼女達だけよ。わたしは魔力の使い過ぎでパスね」


「俺を瞬間移動するのは無理ぽいかな」


「無理、無理よ」


「じゃー俺の魔力を与えるぞ」


「え!なんなのこの気持ちいい感じは・・・これがユウの魔力なの」


「どうだ行けそうか」


「仕方ないわね・・・」手を握られて瞬間移動。


目の前には大きな岩があって、その岩に穴が開いていた。

覗き込んだ。綺麗な階段があった。

穴は直径3メートルもあるぞ。


「この穴が深層のダンジョンの入口みたいね・・・地下1階から別の世界が広がっていたわ。それはゲートに入った感じだったわ」


「するとケット・シーが居たダンジョンと別物だと言うのか・・・」


「それしか考えられないわ。帝国も攻略をあきらめたダンジョンよ。凄い魔物が居てもおかしくないわ」


「それなのに・・・彼女は入ったのか」


「スケルトンが喜んで入ったのよ。ナナ、キキ、シズも追い駆けるように入ったわ。わたしはダメって制止を振り切って行ってそまったの・・・わたしの魔力も無かったからあきらめたのよ」


「このまま、ほったらかしには出来ないぞ。それに気になるし・・・」


「入るの・・・分かったわ・・・わたしも入る」



広大な大地が広がってるぞ。

まさに別世界だった。


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