第44話東京奪還作戦Ⅱ



大阪の田舎に建てられた国会議事堂。

その大会議室では、大型モニターに東京奪還作戦の戦況が刻々と映し出されている。

その映像を見る人々は、固唾を呑んで見守ってるだけであった。



16式機動戦闘車に搭載されている52口径105mmライフル砲から火が吹いた。

結界を破ってバイコーン(二角獣)に着弾。

辺り一面にバイコーンの肉片を飛び散らす。


東京奪還作戦本部の「あと少しだ!ここを制圧すれば、ゲートは目の前だ」と命令する声が聞き取れた。


見ていた者から歓声が起きた。


「制圧成功時には、選挙も考えないと・・・」


「君は、この体制に不満なのかね・・・わずかに生き残った議員でもやってるではないか・・・」


「しかし、それは応急的な処置であって、このまま続ける訳には行きませんよ」


「総理代理の私に任せていれば良いようにするから、君も野党の1人だろう。与党が居ない今がチャンスなんだよ」


「しかし、国民が反対すれば・・・」


「今回の東京奪還作戦は、発表時から我が党の支持率が上がってるのが分からんのか・・・このまま躍進して政権の基盤を築くのだ」


「しかし、地方の自民党要員が選挙候補を次々に選んでいるので、このままでは選挙をするしかありません」


「1週間前に生き残った自民党の議員34名が爆破テロに巻き込まれたのも運命なのだよ・・・政治安定を名目にもっと引き伸ばせ」


国会議員の出席数が異常に少ない。多くの議員が東京事変で死亡。


そして、生き残った自民党の会合で爆破テロが起きた。

犯人は分かってない。


帝国の犯人説や外国人説が囁かれている。

それによって自民党議員が不在となった。その次に議席の多い公明党が実権を握る。


社会不安があいまって選挙も出来ない状態で先延ばしにしていた。

衆議院と参議院の合同で非常事態のまま議会を行なっていた。


衆議院の議員数は、36人。

参議院の議員数は、63人。


そんな99人の議員から大型モニターを見て悲鳴がもれた。



空のワイバーンが16式機動戦闘車を火球で撃破。


しかし、もう1台の16式機動戦闘車の12.7mm重機関銃がワイバーンを迎撃。

空に放たれた銃弾がワイバーンの胴体に命中。

そのまま地面に落ちた。


のた打ち回るワイバーンに追撃の銃弾が無数に当てて仕留めた。



「こちらガンマ、第39区を制圧しました。残り第40区へ向かいます」


大型モニターを見ていた議員から歓喜が湧き上がる。


「これで自民党抜きでもやれることが証明されたぞ」


「総理、おめでとう御座います。これで我が党は安泰です」



- - - - - - - -



我が家では、テレビを見ながら「ねえ!スケルトンや蟻たちをどうするのよ。このままだと自衛隊がゲートに入ってくるわよ」


「分かってるよ。だから蟻の巣にスケルトンを潜るように命令している最中だから・・・」



蟻の巣の穴を塞げば何とかなるに決まってる。


そして、蟻の巣に瞬間移動だ。


「蟻の巣って、こんな風に大きくなってるのかよ・・・前に来た時は小さな穴だったのに」


体長3メートルのスケルトン騎士がノシノシの穴に入ってきた。


『御主人様、わたしで最後です』


「え!そうなの・・・」


穴の外に出る。

本当だ。誰もいないぞ。


土魔法を発動して穴を塞ぐ。そして土をザザザと被せたぜ。


案外、分からないもんだな・・・

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