第35話奇襲作戦



「え!100人以上でダンジョン攻略するって本当か・・・帝国の奴らは何を考えてるんだ」


『本当です。私たちの動きを音や振動で探知する者がいて、奇襲攻撃が出来ないのです』


「奇襲攻撃が難しいって訳か・・・ダンジョンの中で上手く隠れていたケット・シーが簡単に現れたのも、それが原因だったのか・・・100人の兵なら・・・この辺かな・・・この位置に整列して入って行くに違いない。シズは、ここにケット・シーが隠れる塹壕ざんごうみたいな穴を掘ってくれるかな」


「任してよ・・・きっと気に入ってくれるような穴にしてみせるから」


シズは張り切ってるぞ。


あっという間に塹壕穴が出来たぞ。

ちょっと離れた木を伐採して、ちゃちゃっと錬金術で塹壕を隠す板を作る。

思っていたほどに簡単にできたぞ。


塹壕の上に置いて土をかぶせたら完璧だな。


ケット・シーに塹壕の中に入らせて、下から槍で突く練習をさせた。


「足の裏を突き刺すだけでいいからな・・・殺すことが目的じゃーないから、頼むぞ」


鉄のブーツを魔法で板の上を歩かせる。

その音に反応してケット・シーは突き刺した。槍が良いのか見事にブーツを突き刺す。

あれって痛いだろうな・・・


「今度は、歩いた後で止まっている状態で命令するから、一斉に突き刺すんだぞ」


『わかりました』ケット・シーは元気があっていいな。


「ナナは、身体能力で音や振動に注意してくれ」


「任せてちょうだい・・・」


俺は沢山のブーツを操って兵隊が整列させるように動かす。

まあ、こんな感じで整列させて「突き刺せ!」と念じる。


ケット・シーは、サッチして一斉に槍が飛び出した。


「ケット・シーって優秀ね」




ダンジョン入口での待ち続けて2日目だ。


「あれって鳥には見えないよなーー?」


「どこどこ・・・全然見えないよ~」


俺の魔眼は、遠くてもよく見れるぜ。

間違いなく帝国の乗り物だ。それがこっちに向かって飛んで来たぞ。


「みんなー静かに・・・打ち合わせ通りの作戦でゆくぞーー」


ケット・シーにも念話で指示をだす。

穴に入ってゆくケット・シーを確認して穴をふさいだ。

そして、急いで隠れる。



とうとうやって来たぞ。

ダンジョンの入口の広い場所へゆっくりと降下。

4つのアームが地面をつかんで、乗り物の底を地面に下ろす。


あんな風に開口部が開くのか、そしてゾロゾロと出てきた。


「ダンジョン攻略まで1時間だ。準備を整えろ!」


100人以上の兵が準備をしてるぞ。


ケット・シーの言ってたことは本当だった。

え!そんな数でのダンジョン攻略をするのか・・・

まるで数でのゴリ押しだ・・・もう呆れ返る作戦だな。


折角、来たが・・・ダンジョンは攻略済みだよ。

古びた宝箱があってトラップを解除して開けたら、お宝の治癒の指輪をゲットだぜ。


【治癒の指輪】

装備した者を治癒する


怪我や病気や毒までも治癒する効果があった。

なので接近戦の多いナナが装備してる。


本人は気に入ってるみたいだ。




帝国の兵が整列したので「作戦開始だ!」



地面に潜んでいたケット・シーが槍を突き刺した。

あっという間に30人が戦闘不能だ。


兵士は、何が起きたのか分からない。

ケット・シーは突いて、すぐに引っ込めていたから・・・


「何が起きたんだ!」



遠くで隠蔽魔法で隠れたシロがやって来た。

シロは、俺たちの乗り物だか・・・そのシロが飛行物体にブレスを吐いた。

「ピシピシピシ」と凍りつくす。


飛行物体は、アーム部分が凍って飛ぶことが出来ない。



俺は瞬間移動して空中から微弱な放電で、全ての兵を一気に気絶させることに成功。


「ケット・シー、出て来ていいぞ」


擬装ぎそうした穴からケット・シーが這い出してきた。


『ああ、新鮮な空気だ』



飛行物体からブルブル震える兵が出てきた。

ケット・シーに槍を突きつけられて「抵抗し・・・ないから・・・助けて・・・くれ」


上手く言葉もしゃべれない状態だった。

手を後ろにさせて結束バンドで締め上げる。


よさげな服装の男を尋問する。


「日本人の居所を知っているなら白状しろ。さもないと痛い目にあうぞ」


「わたしが知っているのは、ドワーフの鉱山で4000人以上が働いている場所だけです」


「あんた!もっと知ってるでしょ」


ナナが怒りだした。

最近になって通訳を習得したから、本気マジに怒ってるよ。


「それじゃー、自白剤を試すか」


「え!あれを試すの・・・実験段階だって言ったじゃーなかったかしら」


「コボで成功したんだよ。コボは、脳の機能が低下した状態で正常な判断が出来ずにペラペラとしゃべったよ」


「あの紫の草って麻薬みたいなの」


「全然違うよ。コボは、依存症も脳障害もなかったよ」


注射を打って10分後には朦朧となった男にナナが質問。



「ドワーフの鉱山以外に、日本人の居場所は・・・」


「知りません・・・部下のロベルトなら知ってるかも」


「ロベルト!ロベルトはどこに居るの・・・早く返事しなさい」


足を怪我した男が名乗りだす。


「あんたがロベルトね。日本人の居場所は・・・」


「テイマー牧場に、10人の日本人を連れて行きました」


「テイマーだって・・・」


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