第23話赤黒い絨毯




「大変よ。赤黒い絨毯じゅうたんが襲って来ているのよ」


リサは、何を言ってるんだよ。

赤黒い絨毯が襲うハズがないだろう。


ああ、無理やり瞬間移動だなんて・・・


「本当なのよ。嘘だと思うならわたしと赤黒い絨毯を見にいけなば分かるわ」




まさに・・・赤黒い絨毯であった。


俺の魔眼は、全長20センチのありが大地を埋め尽くしているのが見えた。

30分後には、ゲートでゾンビと戦うことになるだろう。


え!ゲートのゾンビは、腐敗した肉がそぎ落ちて骸骨状態だぞ。

まさにスケルトンだ。


スケルトンとして動けるのも、魔眼の熟練度が上がったからなのか大地よ溢れる少量のマナを吸取っているぞ。


どうやらこの辺は、魔力が自然に溜まる仕組みらしい。

大半がゲートが吸取って維持してるのだ。


だから帝国は、ここを選んだに違いない。



とうとう蟻とスケルトンが衝突。

え!蟻がバリバリと骨を砕いているぞ。

なんて強靭きょうじんあごを持った蟻なんだ。



「これだと負けちゃうわ」


リサが思うのも最もだ。


俺は風魔法で飛んで急ぐ。


「ここでいいだろう」


毒魔法を発動。モクモクと紫の雲が発生。

結構な大きさの雲に、そして紫の雨を降らせる。


蟻は苦しみ1分も経たずに死にやがった。

それでも大群の1割程度だぞ。

仲間を増やすしかない。そこで召喚を発動。


なんかやばい。大量の召喚は初めてだぞ。

少し眩暈めまいがする。


『大将、ごめ・・れい・・』


蟻達から大量に寄せられる声が・・・「あの蟻に戦って勝利しろ!」


『わ・・か・・・た』


「はあはあ・・・これはダメだ」


敵の蟻に向かって、一度も使ってない生命吸引を発動。

蟻がバタバタ倒れる度に、体の魔力が回復するぞ。

倒した数は千匹。



味方の蟻は、凄い活躍をみせる。

まれても噛み返して仕留める。

それによってパワーアップ。更に噛みついて頭を破壊。


そんな活躍で圧倒数の敵を威圧してるぞ。


俺は、又も毒魔法を発動。


遠くの蟻を撃退。そして召喚する。

さっきより楽な召喚だ。


「お前達も戦え」


『わ・・か・・・た』


ボロボロだったスケルトンもいつの間にか復活。

踏みつけたり剣でザックと刺したりしてるぞ。



【軍隊蟻進化可能】


【軍隊蟻進化可能】


【軍隊蟻進化可能】


【軍隊蟻進化可能】


【軍隊蟻進化可能】


【軍隊蟻進化可能】


【軍隊蟻進化可能】



もう、進化可能なのか「進化を許可する」


赤黒い蟻が真っ赤になって、体長も30センチに成長。


もう。噛まれても平気で無双状態だぞ。

すでに1万になった味方の蟻は、赤黒い絨毯を死の絨毯にしてしまう。


「この蟻達をどうするの・・・」


「ここで暮らしてもらうよ。君らもそれが望みなんだろう」


「よく分かってるのね。なんで・・・」


気味悪そうに戦いを見てたら分かるよ。

女子は昆虫が嫌いなのは定番だからね。


そんな蟻も、俺にとっては可愛い存在だ。

目が合うとお辞儀するし、前足を合わせてるから・・・


え!それって拝んでるの・・・





俺が睡眠中にガバッと目覚める。


【女王蟻に進化可能】

【軍団長に進化可能】


え!そんな表示が・・・何が起きたんだ。

みんなを起こさないように外に出て風魔法で飛んだ。



ああ、真っ暗だ。雲で月明かりも無い。

あ、あれはなんだ。


それはゲートであった。

ゲートは、夜なのに薄っすらと光ってる。

なんて神秘な光景なんだ。


嫌々、そんなことでここに来たのではない。


ゲートの明かりに慣れて、ようやく見えたぞ。


え!戦ってる。


それも石で出来たゴーレムだ。

なんてバカ強い力で地面を叩いてるんだ。

陥没かんぼつした地面から蟻が這い出す。

あんな攻撃に耐えてるぞ。


石で出来たゴーレムは、蟻に敵わなかった。

ガリガリと食い破られて、ゴーレムのコアが食われた瞬間に崩れる。


もしかして、あっちこっちにある土が盛られたのは・・・

ゴーレムのなれの果てなのか・・・


こんなに大量のゴーレムを倒したようだな。


俺も結晶刀を取り出して、地上に着地しながら1体のゴーレムを斬り倒す。

コアが真っ二つに斬れる。

崩れた土くれに向かって召喚を発動。


石が形成されてゴーレムの姿に。


「あのゴーレムを倒せ」


『ゴーー!』


渾身こんしんの力を振り絞って、右ストレートが胸部をぶち破った。

それでコアに亀裂が走る。


ワンパンチで倒したぞ。


次のゴーレムは、アッパーが炸裂。

空中に舞うゴーレムは、そのまま落下。

地面に倒れたゴーレムをドンと踏んで粉砕。

なんて奴だ。


戦い続けて【ゴーレム進化可能】と表示。

俺は許した。


石が鉄に変化。まさにアイアンゴーレムだ。



おっと忘れていた。

俺は、あの蟻に進化の許可をだした。


なんと近くに、あの蟻が・・・

ゴーレムを食い破った蟻が光りだす。

70センチの女王蟻の誕生だ。



なんだか女王蟻が呼んでるぞ。


「なんだ」


女王蟻の後ろには、軍団長らしい蟻も居るぞ。

全長は60センチ程だ。


『子作りの許可を下さい』


「え!子作りが出来るの」


『出来ます。どうか許可を下さい』


なんだか必死だな。


「分かったよ。許可するよ」


『ありがたき幸せです』


「ここを守ってくれるなら、それぐらい当たり前だよ」


『神の御言葉に感謝します』


え!俺って蟻から見たら神なの・・・



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