第43話 神格化
マージョリーたんの全身が、金色に光った。瞳の色も、黄金に輝く。
私も盾状態から分裂し、マージョリーたんの全身を覆うヨロイへと変化した。パーツとパーツの間を、魔術式の障壁が駆け巡る。その姿は、金色のオーラでできたドレスアーマーを思わせた。いわばマージョリーたんが、盾そのものになったような。
ハルバートも、ヤリ型の銃剣へと姿を変える。
「これが、ダテさんの切り札ですわ。最終形態 フルアーマーモードですわ!」
ヤリ型の銃剣を、マージョリーたんはライフルのように構えた。
「アハハハハ! てっきり切り札とおっしゃっていたので警戒してみれば、ただの【神格化】ではありませんか」
全身キンキラキンにパワーアップしたマージョリーたんを見て、ケフェスが嘲り笑う。
神格化とは、その名の通り神に近い力を得るスキルだ。
レベル上限がアップする特殊技能【限界突破】を取得することによって、ようやく手に入る。取得必須レベルは一〇〇を越える、超激レアスキルだ。
マージョリーたんはメキラを倒したことで、レベルの限界を突破した。これにより、神に近い力を得たのである。
「そんなスキル、我々ゴーマ三姉妹なら、常に発動していますよ」
そう。ゴーマ三姉妹の強さはここにあった。
彼女たちは神格化した状態で産まれたといっていい。
産まれたときからレベル一〇〇を越えている。
天候変化や強い召喚獣などは、スキル【神格化】によってもたらされていた。
「この程度のパワーアップで、我々が恐れおののくとでも?」
「ええ。証明して差し上げますわ。【ウイング・ディザスター】!」
マージョリーたんが、背中の翼を羽ばたかせて、剣のように振るう。【ウイング・ブラスター】に、神格化の力を上乗せして強化したスキルだ。全体だけではなく、単体にも打撃を与える。
「バカの一つ覚えですね。やってしまいなさい、
黒い戦乙女が、ケフェスの指示で同じ技を展開した。
赤く光る戦乙女の翼が、ムチのような動きでマージョリーたんに迫る。その力は、互角と思われた。
「な!?」
赤黒い翼は、金色の光の翼によってたやすくもぎ取られる。そのまま金色の光は、戦乙女さえ両断した。
切り裂かれた黒い戦乙女が、一瞬で灰になる。
「うわ、すっご」
感心しているが、フィゼはすでにもう一体の戦乙女をウミガメ召喚獣のボディプレスで潰して倒していた。
「わたくしだけが神格化したくらいでは、あなた方には勝てないでしょう。ですが、『ダテさんもレベルアップしている』としたら?」
戦乙女を倒しても、勢いは止まらない。そのまま、ケフェスさえ切り裂こうとする勢いだ。
「待ってください!」
イーデンちゃんの静止に、マージョリーたんが翼を止める。
「これはケフェスとわたしとの勝負です! マージョリーさんは下がっていてください!」
「よろしくて? あなたの力では、ケフェス嬢の相手は荷が重すぎると思うのですが?」
「大丈夫です。わたしだって、鍛えられたんですから」
イーデンちゃんは、本気だ。
「それに、あれは母の仇。自分で倒したいのです」
「わかりました」
マージョリーたんが、神格化を解く。
「ですが、憎しみに囚われてはすべてを見失います。怒りで我を忘れそうに慣れば、いつでもわたくしが加勢いたしますから、そのおつもりで」
「ありがとうございます」
「では、回復してくださる?」
「喜んで」
マージョリーたんの失った魔力を、イーデンちゃんが回復する。グン、と、イーデンちゃんのレベルがアップした。
「あなたも、【神格化】できるようですわね」
イーデンちゃんが、本気になる。青白いオーラをまとって、マージョリーたんと同じように、ゼットさんを分解して全身を包む。
「マージョリー姉さん、見ていてください。わたしの戦いを!」
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