第24話 対面

革命軍のみんなと一緒に外へ出ると、すぐ目の前にはセントラルタワーが。

先頭部隊はすぐに周囲の敵と交戦がはじまり、ジョンとエヴァは中へ突入するタイミングを見計らう。


国の戦力は各地に散らばってはいるものの、セントラルタワーには思った以上に敵部隊が残っていて、なかなか前へ進めない。

それにしびれを切らした革命軍はロケットランチャーを使い、セントラルタワーまでの道をこじ開ける。


「いくぞ!!」


ジョンとエヴァの爆破部隊はまっすぐセントラルタワーまで向かう。

中にも敵の部隊が残っており、激しい銃撃戦となった。


「くそっ!まだこんなに」

「大丈夫。私たちも負けてない」


革命軍はこの作戦が失敗すればあとがないため、皆死に物狂いで戦う。

その体を張った戦い方に敵の戦力は少しずつ削られ、ジョンとエヴァは隙を見てルーラーの部屋入口まで駆け寄った。

2人が入口を開けようと準備をしていると、突然大きな扉が開く。


「!?」


ジョンとエヴァは驚いた!

何もしていないのに勝手に開くわけがないからだ。


「どういうことだ?」

「わからない。でも今はそんなことどうでもいい、行くよ!」


2人が入ると、見計らったかのように扉は締まる。

それに恐怖感を抱いた2人は恐る恐る中へと進んだ。

その奥は広いスペースになっていて、研究者のような人間が大勢いるのがわかる。


「ここね」

「あぁ」


2人の存在に気付いた研究者たちは全員が取り乱し、怯えたような表情で彼らを見つめる。

さらのその奥にはもう一枚扉があり、その扉もひとりでに開いた。


「まるで呼ばれているみたいだな」

「そうね」


ジョンとエヴァがその扉をくぐると、そこには大きなガラスケースに入った少年の姿が。


「!?」


その少年は実体のないホログラムのようなもので、初めて見たルーラーに2人は息を飲んだ。


「いらっしゃい」


少年は微笑みながら2人に声をかける。


「ここまで大変だったね」

「お前がルーラーか?」

「そうだよ」


余裕な笑みを浮かべながら少年は2人を見下すような表情をする。


「俺たちをわざとここまで入れたのか?」

「そうだよ」

「なぜ?」

「だって君たち、僕に会いたかったんだろ?」


ジョンとエヴァはルーラーの言っている意味がわからなかった。

2人はルーラーを破壊するためにここへ来たからだ。

驚きの表情をしている2人を見てルーラーは笑った。


「あはは」

「何がおかしい」

「君たちが色んなものに振り回されていることがだよ」

「俺たちはお前を完全に破壊できるだけの装備を持ってる」

「そうなの?」


ルーラーへ破壊の意思を伝えるが、少年はそれでも余裕の表情を崩さない。


「ジョン、破壊しましょ」


その言葉に2人は持ってきていた装備に手を伸ばす。


「やめときな」

「何?」

「次に君たちが怪しい動きをすれば、その瞬間にこの部屋に神経ガスが噴出するよ」

「!?」


ルーラーの言葉にジョンとエヴァは「やられた」と感じた。

ここまで彼らを導いたのはしっかりと備えがあったからだ。


「そんなことにも気付けないなんて・・・」

「だから君たちは何をしても失敗するんだよ」

「なんだと!」

「その通りじゃないか」

「実際に君たちは今ここで何もできない」

「どうあがいても僕の手のひらの上さ」


ジョンとエヴァは完全に弄ばれていた。


「さすが最高の人工知能ね」

「まぁね」

「で、これから私たちをどうするの?」

「どうしよっか?」

「ふざけないで」

「ふざけてないよ」


エヴァはルーラーに対して怒りをあらわにする。

そんな彼女を見てルーラーは突然真剣な表情になった。


「君たち人間は何も学ばない」

「何年経っても、どれだけ発展しても、いつも同じことを繰り返している」

「だから操るなんて簡単なんだよ」


ルーラーの言葉にエヴァが怒った。


「だから何?それでも懸命に生きてるじゃない!」

「そんなんじゃダメだよ」

「何が?」

「君の懸命に生きるって何?」

「私たち人間はみんなで手を取り合って生きていくものよ」

「大変なことがあってもみんなで支え合い・・・」


ルーラーはエヴァの言葉を遮るように話し始める。


「それ、この国の在り方と同じじゃない?」

「!?」


エヴァは無意識に自身の想いを語るが、ルーラーの言葉にその内容が国の在り方と同じであることに気付く。


「一緒じゃない!」

「一緒だよ」

「あなたたちは私たちから自由を奪い、義務感で良い行いをさせようとしてる」

「でも、人間はそんなんじゃない」

「良いこともあれば悪いこともある」

「失敗もするし、ときには喧嘩だって・・・」

「それでも何かのためにみんな必死で頑張ってる!」


エヴァは必死で自分の想いを伝える。


「義務感で良い行いをさせたり、無理やりにでもいい気分を作るなんて嘘だらけよ」

「人間は良いところも悪いところもあるの!人生だって山あり谷ありよ」

「そして、それが人間というもの!」

「私たちがありのままで生きて何が悪いのよ!」


エヴァは思いのたけをぶつけた。

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