第11話 -宿とクエスト-

回復手段は複数ある。

宿屋に泊まるか、ポーションなど、薬を使うか、回復魔法か、特殊なアイテム、スキルなど。

そんな中でも、メジャーなのが、宿屋とポーションである。


宿屋は街などにしかないが、一定のお金を払うことによって、一定の体力が回復される。

これは、宿屋によって値段と回復量が違う。

時間もほぼかからない。

ポーションは持ち運びができるため、戦闘中に使うのが普通だ。

なので、別に戦闘中でもない僕は、宿屋に向かう。

僕の体力は初期体力とかいうクッソ低い体力だから、ハジマリノムラ……街か、ハジマリノマチの安い宿屋でも全回復が余裕だ。

ちなみに自動治癒はない。スキルでなければ。

そういえば僕ってスライムの液持ってるけど、ポーションに変わるのかな?変わるなら売るのはやめておくべきな気がする。

そんなことを考えながら、ハジマリノマチにある、安い宿屋を探す。


「えぇと、これ宿屋かな?」

宿屋らしきものを見つけたので入ってみる。

すると中には……


ほとんど誰もいなかった。

天井の隅には蜘蛛の巣が張っていたり、壁に穴が開いていたり。

安いとこでもいいとは思ってはいたけど、少しボロくないかな……と思っていると、


「あ、えと……その、いらしゃいませ!」

突然声が聞こえる。

その声の方を向くと、そこには少し汚れたエプロンを身につけた小さな女の子がいた。

「ここで泊まりたいんだけど……」

そう僕がいうと、少女は

「助けてください!」

突然叫ばれる。

どうしたの?と、声をかけると、どうやらお母さんが病気で、薬草が必要らしい。


少女のその話を全て聞き終えた時、テケテーンと、音が鳴り響く。

目の前には、特殊クエスト、『少女と母の病』と書かれた板が浮かぶ。

なるほど、クエストのフラグだったわけだ。

そんなことをされれば、受けないわけがない。


……あれ?これ僕回復できなくない?

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