第2話 -ラッキーボーイ-

「あ!」

このジョブのところをクリックしたら概要が出てきた。

……え?



『概要』

超低確率ジョブ、ラッキーボーイ。

全ては運頼み。

<発生条件>

ステータス主軸でLUKが12以上である。

<ジョブ効果>

LUKが1.5倍になる。 



うん。何このふざけたジョブとステータス。

……ふっ。僕以外にこのジョブはいないだろうなって思うとなんかワクワクしてきた。(単純)

「このふざけたジョブでも、頑張るぞ!おー。」


『以上でよろしいでしょうか。』

もちろんイエスだ。

目の前にあったボタンを押す。

すると何か白い光に体が包まれていく。

……心なしかあたたかい。


目が覚めるとそこは……

森だった。


え?森?

と困惑していると


『敵が現れました。倒してください。』


あーチュートリアルね、と理解したとき、

ガサガサと草が揺れた。

そこからは、青い水のようなモンスター、スライムが現れた!


そのとき、僕はとっさに構える。


……ん?構えるって何を?


というか僕何も持ってなくない?

なにで戦うの……?

そう思っていたところに、


『心の中で「メニューオープン」ととなえてください。メニューが現れますので、そこからアイテムボックスに入っている、ノービスの剣を使用してください。』


ほんと急にしゃべりかけられるとびっくりしちゃうからやめてほしい。


それで、その命令に従い、心の中でメニューオープンと唱えるとメニューが現れた。

様々なボタンがそこにはあったが、その中に、アイテムボックスのボタンがあった。

それを押してみると、開かれたインベントリの中に、ノービスの剣があった。


この剣のステータスは……?

確認してみると、ダメージ+3か。

まぁ刺し方によってダメージなんて変わるだろうから何とも言えないけどね。

とりあえず振ってみようか。

そうして、スライムに近づき、剣を振る。


ぷにゅっ

そんな音が鳴った。

当たった。確かに当たっていた。

でも目の前を見ると……


【ダメージ0】


「んんんんんんんんんんん??????」


え、低いって次元じゃないよ?ダメージはいってないよ?

スライムピンピンしてるよ?

どうしようもなくね?


と考えていても、敵は待ってくれない。

スライムの体当たり。

それに気が付けずに、直撃してしまう。


【ダメージ3】


「いっっっっっっっっった!?!?!?」


え?え?レベル違くない?最初の敵だよね?

僕弱すぎない!?!?

えぇぇぇぇぇ…………どうやったら勝てるかな……


「クリティカル」


思い出した。

インターネットで、ソードアンドマジックについて調べていた時に見つけた情報だ。

確か、300分のLUKの確率でダメージが2倍になるはず。

僕のLUKは22.5だから、確率は……


……7.5パーセント

終わったーーーーーー確率ひっっっくぅぅう。

しかもそれでいて大体2倍のダメージ。

……でもそれしかないよな。


やめだやめだ考えるのやめよ。

考えても現実を突きつけられて行動すら起こせそうにない。

それならば何も考えずにぶん殴ってやるよ。

そう考えた僕は、スライムに突撃した。


攻撃!

【ダメージ0】

攻撃!

【ダメージ0】

攻撃!

【ダメージ0】


……を繰り返して10回ほどしたころ

攻撃!

【クリティカル!2ダメージ!】

「おおおおおおおおお」

クリティカルで何とかダメージが通ったぁ。

……でもスライム死んでないな。

つまり……これを何回も繰り返せと?


「やってやんよこのやろおおおおおおお」


数分後


お、おらぁ

疲れて剣筋もブレブレなこうげき、その攻撃が当たると。

【クリティカル!2ダメージ!】

目の前にいたスライムは散り散りになって消えた。

『スライムを倒しました。レベルが2に上がりました。』


「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」

よーーーーーーやくだ。

もうマジでやばかった。

語彙力がやばくなるくらいにはやばかった。

最初の敵、スライムを倒しただけなのに、ただそれだけなのに、僕は未来の自分が見れば引いてしまいそうなほどに喜んでいた。

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