第14話
カイは急いで準備をしながらも落ち着いた様子でジノとホマそして、父親に連絡を入れます。
ジノにはテリが見つかった報告と今までのお礼の気持ちを。
ホマには父の病院とアヨの身の危険を伝えると、ホマにアヨを守るように頼み…父親にはアヨと婚約破棄をするという意思の連絡を入れました。
K「行こう…」
T「うん…」
カイは大きなリュックを背負いテリの手を握って部屋を出ました。
パスポートを握りしめて。
K「しばらくの間…辛い思いさせるかもしれない…」
T「カイとなら大丈夫…」
K「幸せにできるかどうかも分からない…」
T「カイのそばにいるだけで私はもう…幸せだよ…」
ふたりは旅立つまでの間、ホテルに身を寄せ窓から見える月を見上げ、互いの気持ちを確認するように愛の言葉を交わしました。
その間、カイのスマホには数えきれないほどの着信とメールが届いていましたが、カイはバッテリーを取りそっとスマホをおきました。
そして次の日、カイは航空券とパスポートを持ってホテルをチェクアウトしました。
T「大丈夫…だよね?」
不安な顔をしたテリがカイの手を握りながらそう言いました。
K「大丈夫…テリは何も心配いらないから…」
ふたりはそんな言葉を交わし空港に向かうためタクシーに乗り込みます。
その間もテリは落ち着きがなくソワソワとしています。
カイはそれに気づきテリの手を握ってあげました。
K「そんな不安に思わないで…大丈夫だから…」
T「…また…見たの…」
K「え?」
T「あの夢…昨日久しぶりにまた見た…今まで見た中で…1番リアルだった…」
あれからテリはあの悲しい前世の夢を見ることは次第になくなっていったのですが昨夜、久しぶりにその夢をみて不安が募っていたのです。
K「テリ、俺たちは今を生きてる…前世なんて…関係ないよ。」
カイがそう言えばテリは軽く頷いて窓の外を眺め、腕にある二つのホクロを確かめるように撫でました。
空港につきカイが手続きをしようと窓口に向かいました。
T「カイ…喉乾いたからあの売店に行きたい。」
K「うん…俺ここにいるから。」
T「分かった。」
売店の場所をチラッと確認したカイはテリの背中を見つめ、売店の中へ入るのを確認してから手続きをしに窓口へ向かいました。
カイは無事に手続きを終え、ソファに座ってテリを待っているのですがテリはなかなか戻って来ません。
K「遅いな…」
売店の場所は窓口からそう遠くはありません。
混んでる様子でもなく、不安に思ったカイは売店に向かうのです。
しかし、売店の中に入るとそこは店員以外、誰もいません。
店員に確認しますが首を傾げ、どこを探してもテリの姿はなかったのです。
どこに行ったのだろ…
不思議に思いながらカイは売店から出てふと空港の外に目をやると、なんとそこにはテリが何人かの黒いスーツを着た男に連れ去られそうになっているのが見えました。
K「な…なんだよあれ…」
カイは慌てて自動ドアをこじ開けるように外へ飛び出しテリの元に走って行きます。
K「テリ!テリ!」
カイの声が届いたのかテリもカイに気づき泣き叫びます。
しかし、テリは頭を押し込められるようにして車の中に無理やり乗せられました。
K「テリ!!テリ!!」
カイは走り出す黒い車を走って追いかけます。
スモークのかかった窓からテリが助けを求めているのが微かに見えました。
K「テリ!!テリ!!」
カイがそう大声で叫んだ瞬間…
ドンッ!!!!!!
鈍い大きな音が鳴り響きました。
なんと、カイはテリの目の前で…
横から飛び出してきた車とぶつかってしまったのです。
カイの身体は大きく跳ね上がるようにして地面へと強く叩きつけられ…
真っ赤な血が地面をじわじわと染めていきます。
T「…カ…カイ!!!!」
テリの悲痛な叫びが車内に響き渡り…
テリはショックのあまりそのまま意識を失ってしまいました。
つづく
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