ヒロインズサイド

第10話君美の暗躍

女性誌のモデルをやっている私はあまり目立つことが出来ない。

ただでさえ高身長なため街中では目立つ。

悪いことをすれば異常に目立つというもの。

現在は事務所で旧友と話をつけているところである。

「貸しいくつあったっけ?」

今ではすっかり仕事上での間柄でしか無い悪友に問いかける。

各々がスマホを取り出して数字を口にしていく。

「3」「7」「2」「5」「10」

五人の貸しの数を耳にして私は納得したように頷いた。

私は他人に借りは作らない。

何故なら必ず後悔する場面がやってくるからだ。

「じゃあ全部消費して頼みたいことがあるんだけど」

「この間の男の監視は?いくつ消費されてるんだ?」

「とにかく監視していた男性についての頼みなの」

「詳しく聞かせてくれ。それから判断したい」

そこから私は彼に付き纏っているお邪魔虫の存在を詳しく話す。

仕事をやめて私に養われるようになった彼は二人の愛の住処で休んでいる。

彼に教えてもらい付き纏っている女性の名前と連絡先は入手しているためそれを彼らに渡した。

「お邪魔虫を消してほしいと言うことか?」

それに私は無言で瞬きを一つするだけだった。

「本気か?俺たちが捕まる」

その決まりきった言葉を耳にして私は一つのカバンをテーブルの上に置く。

「これは?中身を見て良いのか?」

それに対しても瞬きを一つすると彼らは中を覗き込んだ。

「金だ…言いたいことは分かった。それにしても釣り合わないだろ」

瞬きを二つした所で彼らは諦めたように少しだけ項垂れてみせた。

「失敗は許されないんだな?」

私の表情を確認した彼らはカバンの中身を等分にして懐にしまった。

「方法は何でも良い?期限は?」

瞬き一つと指を五本立てる。

「5日か…あらゆる手段でやるか…全てが終わったら即飛ぶぞ」

彼らはそれに頷くと事務所の個室に向かう。

それを確認した私はカバンを手にして車に向かう。

車に乗り込むと帰宅するのであった。

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