第8話


私はいつのまにか大きくなってしまっていたジュイの背中をぼんやりと見つめてながらジュイに腕を引っ張りれ、小走りでついて行くが私はハッと我に返り焦りの中、ジュイに問いかける。


*「ちょちょちょちょっと!!ねぇ、今の何!?」


J「キスだけど?付き合ってるんだからキスぐらいするだろ普通。」


ジュイは歩くスピードを緩める事なく私の腕をさらに強く引っ張ったままどこかに向かっている。


*「いやいやいやいや〜!!付き合ってるフリをするだけでしょ!?キスまでしなくても!!」


J「もしかしてファーストキスだった?」


*「それはない。いい歳してんだからもう、ひと通り経験してるに決まってんじゃん…ってそんな話はどうでもよくて!!」


J「はぁ?ひと通り経験してんの?誰と。」


勢いよく早歩きで歩いていたジュイは急に立ち止まり、ゆっくりと私の方に振り返るジュイの顔はこの世とは思えないほど綺麗な顔のまま青筋を立ててブチギレていた。


私は初めてみたジュイのブチギレ顔にぴぇーと泣きそうになりながら、どうやってこの状況を凌げるのか頭をフル回転する。


*「え?…誰って…元彼たちと…?」


J「元彼…たち!?何人?」


*「はぁ?何が!?」


少し強気に出てみたもののジュイのもの凄い威圧感で返される。


J「経験人数だよ!!今まで何人としたんだよ!?」


激怒中の激怒のジュイくん。


いつもの可愛い可愛いジュイくんはどこに行っちゃった?


捜索願ださなきゃ…なんて思っていた私はある事に気づいた。


ん…?こ…この子…まさか!?


惚れ薬入りのカフェオレ飲んだんじゃないの!?


そう思った私は縮こめていた身体を大きく広げて、いつものように強気でジュイに問いかける。


*「ねぇ、本当にカフェオレに魔法の角砂糖!入れてないよねぇ!?」


私がジュイの目の奥を見て問いかけると、ジュイは口を尖らせ分かりやすいほどに私の視線から目をそらす。


J「入れてないって言ってんじゃん!!で、何人としたんだよ!?」


目を逸らして怪しさMAXのくせにジュイは入れてないと強く主張し、私もいつもの悪いクセですぐにジュイの言葉を信じてしまいそうになった。


しかし、今までこんなこと聞いてきた時ないのに…怪しい…怪しすぎる。


*「4人よ…4人。歳のわりに少ないでしょ?ほら、だからもう腕離して?」


私は素直に答えたのになぜか私の腕を掴むジュイの力は強くなるばかりで、その背中からはさっきよりもはるかに殺気だっていて私の腕がもげそうになる。


J「マジかよ…4人も…耐えらんねぇ…」


ジュイはそう意味不明な事を呟くと、使われていない会議室に私を押し込み鍵を閉め、私をテーブルの方へと追い詰める。


*「え…ジュイ…?」


J「静かにして…」


*「ねぇ、本当に魔法の角砂糖入れてないよね?」


J「正直言うと…わかんない…イチさんが砂糖入れてくれたから…でも俺…ミラのこと…」


*「やっぱり…解毒剤あるか聞いてくるから…ジュイも私に近づかない方がいいか…」


テーブルに追い詰められた私は半分テーブルに腰掛けた状態で私を追い込むジュイの胸板を押しながらそう言うが、その時にはもうすでに遅くて…


ゆっくりとジュイの手が私の後頭部に回るとさっき感じた温もりをまた、唇に感じた。


咄嗟にジュイの胸を叩くが、グッと大きな手で頭を押さえ込まれているせいで身動きが取れない。


強引に私の口をこじ開け奥深くまで侵入してくるジュイの目はもう…子供の目ではなく男の目になっている。


拒ばないと…なんとか離れないと…


そう頭では考えているのにふわふわとなり体に力が入らない…


生々しい音が鼓膜を刺激して私のほうが理性を吹き飛ばしそうになってしまう。


ダメだ……心臓がバクバクして壊れる…


私はカラダの力が抜け思わずジュイに身を委ねてしまった。


すると、ようやくジュイは私の唇を解放した。


*「ジュイ…お願い…これ以上やめて…」


J「やめない…」


*「こんなのはヤダよ…お願い…」


J「もう…我慢できないよ…....」


ジュイはそう言うと私の頬にチュッとキスを落とし自分のベルトに手をかけた…。


つづく

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