第41話 逃げ出す


ふぅ~一度関係を持ってしまうと流されやすくなってしまうな。


今、横で満足そうにスヤスヤとミウが裸で寝ている。


やはり、避妊紋を自分に刻んで良かった。


こんな歯止めが効かない生活をしていたら、多分すぐに子供が出来てしまう。


スレンダーで綺麗な肢体。


小さいけど触り心地の良い胸とお尻…嵌まっているのは俺も同じだ。


ミウだけじゃない。


俺も愛情に飢えていたんだな。


ミウが自分の命より大切に思える程…愛おしい。


歯止めが効かなくなる程誰かを好きになるなんて思わなかった。


ミウの寝顔に後ろ髪をひかれつつ起こさないように俺は隣の部屋に移った。


さてと…此処から俺は何処に逃げた方が良いのか『霊的(天使)自動書機』に相談だ。


これは、前の世界でいう、こっくりさんの進化系で。ボードにペンがついている。


これで、心霊を通り越して天使と会話が出来る。


このボードに手を置いて、聞きたい事を天使に聞くと自動的に手が動いて紙に答えが書かれていく。


エンジェル様…エンジェル様…


「これから、この場所を離れようと思うのですが…何時位が良いでしょうか?」


手がボードごと動き、紙に文字を書き始めた。


『みっかいない』


3日以内?随分と早いな。


「それは何故でしょうか?」


『せんそう』


戦争?


まさか、魔族との戦争が起きる…そう言う事か?


「それでは、何処に逃げれば宜しいのでしょうか?」


『テイコク』


「聖教国でない理由はありますか」


『ツギハココ』


つまり、王国、聖教国、帝国の順に戦争に巻き込まれるから、聖教国では無く帝国に逃げなさい。


そういう事か?


最後に…


「勇者達、異世界人は魔王に勝てますか?」


『アクマデヨソウ…カテナイ シヌ』


やはり勝てないか?


「答えて頂き有難うございました…どうぞお帰り下さい」


俺がそう言うと手から力が抜けた気がした。


これで、方針が決まった。


帝国に逃げる…それだけだ。


そして、同級生には構わない。


天使が『勝てないで死ぬ』って事は恐らく、本当に勝てないのだろう。


しかし…この天使は何者なのだろうか?


女神のしもべみたいな者なら『勝てない』とは言わないだろう。


まぁ良い。


此処は大樹達の事を考えても離れるべき場所だ。


その後は、しっかり様子を見るべきだ。


他の事ならどうにかなるかも知れないが『戦争』だけはどうしようもない。


そこは回避しないとな。


俺は『運が良い』


城を追い出されたからこその自由がある。


借りも貸しも無い…


『魔族からは逃げる』


そこを主軸に、俺は考えて行動する。


それだけだ。


◆◆◆


「おはよう!ミウ」


「おはよう! 理人…早いね…どうかしたの?」


「うん、そろそろ王国を離れて帝国に向かおうと思ってね」


「随分急だね? 何かあったの?」


「いや、嫌な予感がするんだ…昔から結構こういう嫌な予感は当たるから、すぐに行動しようと思って」


「まぁ、ミウは別に構わないよ…知合いが居る訳でも無いし…うん、理人がそうしたいならそうすれば良いよ」


「ありがとう、それじゃ、早速準備して、朝食は外食で済まして行こうか?」


「うん…だけど、本当に急だね?」


「まぁね」


部屋の物を片端からアイテム収納に突っ込んだ。


冒険者ギルドの口座はこの世界共通でATMみたいな物だからこのままで問題はない。


「それで、帝国にはどうやって行くの?」


出来るだけ早く生きたいけど…


「一番早く行く方法は、なんだと思う?」


「う~ん、やっぱり空竜艇が一番で次は馬車じゃないかな?」


「まぁ良いや、行ってみよう」


結局、俺達は朝食を食べてから、それぞれの乗り場に行ってみた。


空竜艇は1週間に1度しか出てなく、昨日でたばかりだった。


『3日間』そういうお告げがあったから…次回じゃ間に合わない。


馬車は乗り合いと貸し切りがあったが…他人と一緒は気が引けるから貸し切りにした。


「貸し切りなんて凄いね」


「まぁ余裕があるからこれ位良いんじゃない」


「ミウ、馬車で旅行なんて初めて」


「俺もだよ!」


「お客様、帝国行きの馬車の準備が出来ましたよ」


「それじゃ行こうか?」


「うん」


王国でこれから何が起こるのか解らない。


俺達は『天使』のお告げに従い…王国を後にした。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る