第19話 装備と運命の出会い


探して見たが防具はグッズの中には無かった。


言われてみれば、カンフーシューズやカンフー着は詐欺じゃない。


ただのファッションだから『詐欺られていない』だから無いのは当たり前だ。


俺は、ギースさんのお勧めの通り『防具屋』『薬屋』『道具屋』に相談しに行く事にした。


「それなら、そのギースさんの装備に寄せてみるかい?」


悩んだ挙句、少しお金ははるが相談した結果ギースさんと同じジャイアントスパイダーの糸で出来た服上下と同じくジャイアントスパイダーの外殻から作られ軽装鎧を購入。


「最低限これだけあれば大丈夫だと思う」


回復系のポーションを10購入。


「水筒とかナイフは持たないと…」


言われるままに初心者冒険者セットを購入。


かなり、稼いだからお財布には響かない。


使わない物も出てきそうだが…無くて困るよりはマシだな。


◆◆◆


そして、俺はスラムに来ている。


小説や映画、アニメでは見た事があるが、現実はそれ以上に酷い。


蹲って動かない老人。


此方を恨みがましく見る鋭い目。


ここが地獄なんだ…そう言っても信じられる。


それほどまでに酷い場所だ。


今の俺は、見た目は逆三角形の体でかなり鍛えぬいた体に見える。


だから、襲って来ないがそうでなければ今頃襲われて身ぐるみ剝がされるかも知れない。


しかし、この中から探せと言われてもな…


確かに小さな子供から、老人まで居るが…どうした物か…


家族が居るのは、駄目だな。


その輪に加わるのは正直苦手だ。


老人は仲間にしても意味がないからある程度若い方が良い。


男よりは女の方が良い。


此処迄は決めている。


問題は此処からだ。


どういうタイプが良いのだろうか?


自分でも解らない。


良く考えたら…俺は何時も1人だった。


両親が自殺してから今迄、誰にも助けて貰えず生きていた。


唯一の贅沢は高校に在学している…それだけが唯一の贅沢。


借金だらけの俺の親がそうなる前に学費は3年間一括で払ってくれた。


それ以外は、ただ飯を食って寝るだけの生活だった。


此処よりはマシだが…あれはあれで最悪の生活だった。


そんな俺がパートナーとも言うべき仲間を探す。


随分と敷居の高い話だ。


正直言えば『これで良いか』そう言える相手は居る。


だが『これじゃ無ければ駄目だ』そう思える相手が居ない。


まぁ運命の相手なんてそう簡単に出会える訳が無い。


そう思っていたが…異世界は凄いな。


髪の毛が緑でやや銀が入り輝いている。


目は大きくブラウンアイで綺麗だ。


痩せていてスレンダー。


歳は少し俺より下…まるでアニメのヒロインみたいな女の子が転がっていた。


この子が魔女っ娘とかアニメのヒロインの3年後です。


そう言われても信じてしまう。


そういう感じの子だ。


そんな綺麗な子にハエが集っていた。


近づいて見ると…嘘だろう。


左側の顔から胸にかけて物凄い火傷を負っていた。


右側が美少女…左側が…悪く言えば化け物みたいだ。


体も余り自由に動けないようで自由になる右手で一生懸命ハエを払っている。


「なに…見ているの…この化け物みたいな顔を見て面白いの…」


小さな声で少女が俺に話かけた。


多分、このままだと死んでしまうだろう。


俺にはこの怪我を治せる可能性がある。


だが、ぶっけ本番で上手くいくかどうか解らない。


失敗したら…まぁ良い多少醜くても1人で居るよりはマシだ。


最悪火傷した方に仮面でもして生活すれば良い。


「あの…俺の奴隷になりませんか?」


「冗談…今のミウは…」


「しんどいんだろう? なるかならないだけで良いよ」


「あははっ、幻覚なのかな…なるよ…なる…」


残酷なようだが、俺の場合は秘密が多い。


確認はどうしても必要だ。


「解った…」


俺は彼女の意思を聞いたので、そのまま彼女を背負い冒険者ギルドへ走った。


◆◆◆


「なんですか? 死体なんて運び込んで」


「大丈夫、まだ生きているから奴隷契約をお願いしたい」


「その子、死にかけですよ? それにもし契約したら、その子の葬儀から埋葬費用まで全部理人様持ちになります…良いんですか?」


「構わない…だから急いで」


「解りました…それで貴方一応確認をしますが奴隷になられて良いのですか…」


「…いいよ…こんな状態だもん…」


「解りました、それなら大丈夫です…奴隷紋をすぐに刻みます、代金は銀貨6枚になります、あと理人様の血を少し分けて下さい」


俺は銀貨6枚を渡し貸して貰ったナイフで指先を切ると小皿に垂らした。


その血に特殊なインクを混ぜて受付嬢はミウの右腕に紋章を書いた。


この受付嬢何気に凄いな。


すると一瞬紋様が光った。


「終わりました、あと書類です…ほら治療に向かうのでしょう...しかし異世界人は解りませんね…まぁ良いです…」


「ありがとう」


俺はお礼を言い冒険者ギルドを後にした。


俺は急いで宿屋へ戻った。


入り口で止められたがチップを弾んだら、すんなり入れて貰えた。


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