第8話 冒険者ギルドにて
あの王女やってくれる。
俺が貰ったお金は金貨1枚。
門番のおっちゃんに聞いた話では金貨1枚約10万円。
あのクソ王女ふざけるなよ…これ、普通に一般人の月の収入の半分位だ。だが俺は何も持っていない。此処から必要な装備を揃えたり生活に必要な道具を揃えたらお金なんて全然残らない。
まず、武器屋でも見てみるか…多分街の外を出歩くにはナイフ位は必要そうだ。
武器屋に入った。
やはり危惧した通りだった。
昔は日本でも刃物は高額だった。
戦うような刃物は、日本で言うなら刀だ。
高額じゃない訳ないじゃないか。
これは買えないな。
見た感じ、戦いに使える様な感じの武器は最低でも金貨2枚はする。
これを買ったらもう生活は出来ない。
「駆け出しの冒険者かい? 武器は命を預ける物だ!高いのは当たり前だ、田舎から出て来たなら働きながら金を貯めるといいぞ…金貨5枚を目標に貯めな」
全然足りないな。
駄目だ。
「そうですね、金を貯めたらまた来ます」
「そうだな、だが冒険者目指すなら、これだけは買って置いた方が良い」
小さなナイフ1本に袋?
「それは一体何故ですか?」
「街の外に出るなら、身を守る最低線のナイフは必要だぞ! これでも刺せばゴブリン位なら逃げる…まぁ複数、もしくはオークに出会ったらおしまいだが、それでも持つべきだ。あと、アイテムを入れる袋は必要だぜ」
俺たちは異世界人…運が良い。
俺たちには『アイテム収納』のスキルがある。
だから袋は要らない。
「おじさん、袋は要らないから、そのナイフ幾ら?」
「ああっ、これは冒険者組合から援助が出ているから銀貨2枚で良いぞ」
1本銀貨2枚=2万円位か。
刃渡り30センチのナイフが2万円…これは仕方ないな
「今持ち合わせが少ないので、あとで来ます」
武器屋を出た後、街を少し見てみたが『物価が高い』
一か月どころか、このお金じゃ1週間生活出来るかどうかだ。
はやく働かないと生活が出来なくなる。
『騙された』そんな気が余計強くなった。
異世界でも同じだ…まして此奴は『命』や『人生』が掛った時に騙した。
この国の王族は『悪人』この事は絶対に忘れない。
取り敢えず冒険者ギルドに行こう。
そして、すぐにカジノだ。
良く考えたら『宿賃』が必要だし、生活に必要な物を揃えるなら全然足りないじゃないか。
◆◆冒険者ギルドにて◆◆◆
見た感じは酒場が併設されていて、いかにも荒くれ者が集う場所...そんな感じに見えるな。
流石に小説や漫画みたいに絡まれる事はない…無いとよいな。
考えても仕方ない。
俺は意を決してカウンターへと向かった。
「初めて見る方ですね!今日はご依頼ですか?」
綺麗なお姉さん、耳が頭にあるお姉さんがそう聞いてきた。
流石は異世界…獣人だ。
確かに武器は持っていないから『冒険者になりたい』人間には見えないかも知れないな。
「登録を頼みたいのですが、お願い出来ますか? 王城からの身元保証書類もあります」
「はい、登録ですね、その身分証明書は冒険者の登録では使う必要はありませんよ。こちらの用紙にご記入お願いします。文字は書けますか?」
翻訳の影響なのか、何故かこの世界の文字が書ける様な気がする。
「はい大丈夫です」
どういう意味か何故か理解でき、ひらめいた文字をそのまま書いた。
「これで宜しいでしょうか?」
俺は 名前とジョブしか書いていない。
実際になにが出来るのか、自分達も解らない。
仕方ないだろう。
「構いませんよ、冒険者ギルドは来るものは拒まず。 訳ありの方でも犯罪者で無い限りどなたでもOKです、ですが『無能』ですか…充分気をつけて下さいね…子供並みの事しか恐らく出来ません」
「はい」
ちなみに、どういう仕組みか解らないが犯罪歴があると紙が赤くなり、ギルマスと面接になるらしいわ。
軽い犯罪なら、なれるらしいから、かなり敷居は低いのかも知れない。
「それじゃ、これで登録しますね」
「ありがとうございます!」
「但し、冒険者は、自己責任の厳しい世界だという事は頭に置いて下さいね」
「解りました」
「それではご説明させて頂きます」
説明内容は、
冒険者の階級は 上からS級、A級、B級、C級、D級、E級、F級にわかれている。
上に行くのは難しく、B級まで上がれば一流と言われている。
殆どの冒険者が、D級まででそれ以上は少数。
級を上げる方法は依頼をこなすか、大きな功績を上げるしか方法はない。
B級以上になるとテストがあるそうだ。
ギルドは冒険者同士の揉め事には関わらない。
もし、揉めてしまったら自分で解決する事。
素材の買取はお金だけでなくポイントも付くので率先してやる方が良いらしいわ。
死んでしまった冒険者のプレートを見つけて持ってくれば、そのプレートに応じたお金が貰える。
そんな感じだった。
「解りました」
「はい、これがF級冒険者のプレートです、再発行にはお金が掛かりますので大切にお持ちください、またプレートが身分証明書を兼ねます」
なんだ、これなら貰った身分証明は必要ないじゃないか…
まぁ、今考えても仕方がないな。
ギルドとは関係ないしな。
「ありがとうございます」
お礼を言い立ち去ろうとすると受付嬢が話し掛けてきた。
「冒険者は実績が全てです、実績があれば上に昇り詰められます。『無能』では難しいと思いますが頑張って下さい」
「はい」
さぁ、これからカジノだ。
もしこの『イーグルコイン』が本物なら…此処から巻き返しが出来る。
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