第2話

「この世界には地、水、火、風の4つの属性が存在します。この属性たちには__」



 あー。

 今日も今日とて魔法使いだか何だか知らないじいさんが、一般常識を大層に話している。

 せっかくシャルーア魔法学校世界最高峰の学校に入ったてのに、こんな座学ばっかり。

 もっと実習させろ。魔法レベル上げさせろや。



「属性によって得意とする魔法やその人自身の性格も変わってきます。


地はバリア魔法や重たい一撃が得意です。性格は温厚で包容力のある人が多いですが頑固なところがあったりしますね。


水は治癒やサポート系の魔法を得意とします。柔軟で共感性が高く優しさを多く持っています。癒し系なんて呼ばれることもありますね。


そんな水と真逆の火は熱血、情熱的な人が多いです。自分の芯をしっかりと持っているような人ですね。火炎を操り貫通性に優れた魔法を得意とします。継続的に高火力を出すことができるので戦闘の主軸として活躍します。


最後に風。風は俊敏性や機敏性アジリティに優れ、浮遊などの空間制御魔法を得意とします。上級になると天候や気圧の操作もできるようになり、自然をコントロールすることも可能です。知的で冷静な人が多く参謀を担うことが多いです」



 ぺらぺらと古臭い固定概念をしゃべりやがって。

 属性によって得意な魔法が異なるのはまだわかっても、性格とか絶対関係ないでしょ? 誰が決めたんだよ。


 アタシは治癒魔法もサポート魔法も使わない。

 優しくて癒し系? そんなの笑っちゃうね。

 あんたらが思い描くような水魔導師にはなってやんない。


 じいさんに対して苛立ちを募らせていると、授業が終わってしまったようだ。



「えー、みなさん。入学から一週間が経ちました。一週間のガイダンスは面白みの欠けたものだったと思いますが、よく耐えましたね。


明日から属性ごとにクラス分けされます。各々の魔法を高めっていってください。

地はAクラス、水はBクラス、火はCクラス、風はDクラスに集合です。

では、本日の授業は終了ですので」



 教室を出る者、近くの者と談笑する者、じいさんに質問しにいく者。


 ま、属性ごとにクラスが分かれるって言っても寮は学年で一緒なんだし、属性関係なしの共同部屋だし。そんなに惜しむ必要もないよな。


 はー、だる。

 帰ろ。



 小さく溜息をつきながら、のそっと教室を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る