242. 戻って報告
ドラゴンとの戦いが終わったあと、タラトが勝った証明として凍りついて割れたウロコとドラゴンから生え替わっていらなくなった角や牙、皮に爪などをもらって帰る。
うん、私は廃棄物処理業者じゃないんだけどな。
ただ、これも人里では非常に高価な代物らしく、一大財産になるらしい。
別にお金には困っていないのだけど、ドラゴンからは押しつけられた側面もあるしありがたくいただいて帰ろう。
ヴァードモイに帰ると早々に侯爵様からお呼び出しがあった。
というか、帰ったらすぐに侯爵様のところに向かうように指示が出ていたみたい。
うーむ、やっぱり大事か。
侯爵様の屋敷に行き、応接間で侯爵様の到着をドキドキしながら待つ。
まあ、いまさらなんだけど。
やがて、扉が開きヴァードモイ侯爵様がやってきた。
「戻ったかリリィよ。それで、タラトとドラゴンはどちらが強かった?」
「ええと、いいにくいのですが、タラトがドラゴンに圧勝してしまいました」
「やはりか。冒険者ギルドが調べた文献通りだったな」
冒険者ギルドが調べた文献?
私が不思議そうな顔をしているのを見て、ヴァードモイ侯爵様が説明してくれた。
なんでもドラゴンと力比べをするために私がヴァードモイを出発したあと、文献などにタラチュナトスとドラゴンを比較した物がないか調べたらしい。
結果としてはなかったらしいが、代わりに双方の災害記録は見つかったようだ。
それによると、ドラゴンの場合は撃退した例もあるがタラチュナトスを撃退できた例はないらしい。
それどころかタラチュナトスの進路を変えることに成功した例もないそうだ。
原因はやはりその内包している力の密度。
双方とてつもない力を秘めているが、タラチュナトスは馬と同じくらいの大きさしかないのに単体でドラゴンと戦えるほどの強さを持つ。
そんな小さく強い相手に対して有効な攻撃手段を用意することはできないというのが結論らしい。
冒険者ギルドとしても討伐のための対策よりも災害を広めないための対策を練っているそうだ。
うん、タラトが強すぎる。
「そのようなところだ。私はお前の人となりを知っているのでいまさら謀叛や犯罪などする気はないだろうが、お前が暴れだそうとすればもはや誰にも止められん。ある程度の要求なら通してやるから相談に来い」
「いや、そこまで特別扱いされるのも困ると言いますか……」
「無論、私にも下心はある。お前をヴァードモイに引き留めておくことで、ヴァードモイが外敵から攻められた際の最終防衛線を築きやすくなるというものだ。お前もヴァードモイには思い入れがあるだろう?」
うーん、ヴァードモイ侯爵様もしたたかだなぁ。
でも、確かにいろいろと思い入れもできて第二のふるさとみたいな感じになってきているからいざという時には力を貸そう。
ひとまずいまはお互いに約束するだけにしておき、なにかあったときに頼ることにする。
侯爵様に借りを作っておくのも怖いからね。
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