夢調整布団
ぴろわんこ
第1話
夢調整布団ができた。見た夢を心の栄養となるように、整えてくれるのである。
例えば悪夢を見たとする。やはり悪夢を好んで見る人はいないから、見たくはないと思念が残る。そうか今度はいい夢を見させてあげようと布団は学習する。
と言っていい夢ばかりを見せてあげても、現実との乖離に愕然とすることもある。適度に変な夢や嫌な夢を散りばめるようになっていた。目が醒めてよかった。現実の方がまだマシだなという安心感が得られるからだ。
引きこもりや家庭内暴力などの好ましくない行動を起こしている人には、予知夢を見せた。今のあなたの行動を続けていると将来こんな風になってしまいますよと、警告する形だった。その効果が現れて現状を改める人も多かった。
身体を悪くした人にも苦痛をなるべく忘れさせるような包み方を、布団はしてあげた。完治する夢を見せてあげるのは残酷だからしなかったが、なるべく幸せを感じるような夢を見させてあげた。
ストーカーなどの邪な考えを抱いている人にも諭すような夢を見せた。相手はこんなに傷ついている。あなたは相手を諦めて、別な生き方をした方が幸せになるのではないかというのを夢で見せた。
ああそうか、自分は愚かだったなと行動を改める人が多かった。
この布団のお陰で、精神を病む人は以前よりも少なくなった。
夢調整布団 ぴろわんこ @pirobigdog
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます