【３分で読み切る少女の日記】魔女狩り

第1話 猫を飼い始めた

　猫を飼い始めた。私が言葉を話せるようになった頃、我が家は一匹の黒猫を家族として迎えた。私が見つけた捨て猫だ。とても愛らしく、ママもパパもお兄ちゃんもみんなが愛した。私だって可愛がった。

1500.12.25

　少し経って、家族が私と遊んでくれなくなった。確かに黒猫は可愛い。だけど…。猫なんて拾ってこなければよかった、猫も遊んでくれないみんなもいらない。と小さく呟いた。

1501.1.5

　人々がクリスマスの飾りを外す夜。落雪に驚いた転倒した馬車の下敷きになって家族はこの世を去った。私は独りぼっちになってしまった。私は、ママのお姉さん一家に引き取られることになった。私、ママのお姉さんと旦那さん、義兄ちゃんと義姉ちゃんの五人家族。

1503.6.8

　誰も私と遊んでくれない、みんなが私を邪魔者扱いする。新しい家族と二回目の雪を見るくらいまでは、ママのお姉さんだけは一緒に遊んでくれたのに…。誰も私を愛してくれない、こんな家族なんて私は望んでないし、いらない。

1503.8.15

　深夜、壁もドアも天井も目に見えるのは灼熱の炎。家が燃えていた。あぁ、私死ぬのか。最後に頭をよぎったのは、あの黒猫。私も猫になったら愛してもらえるかな。

　焼け跡からは四つの亡骸が見つかった。生き残った者はいなかった。（続く）