第4話 辺境の地

日付が変わり、佳代子と連れの幼い魔女が旅立つ日。ロジーナは寝ぼけた様子で現れた。


「ごめんね~。私、朝が弱いのよ」


そう言ってはいるが悪びれた様子はない。佳代子も特に不快だとも思わなかったためそのままにしておいた。


「それで、この子があなたに連れて行ってほしい子よ。自己紹介しなさい」


「はい。ミリーナと言います。よろしくお願いします」


ミリーナは前の世界の小学3年生くらいの身長、顔立ちで茶髪、青い眼でちょっとおどおどしていた。


「私は佳代子よ。よろしくね。それで、私についてくると血をたくさん見ることになりそうなんだけど大丈夫?」


「ダイジョウブデス」


なんだかイントネーションがおかしい気がしたが本人が大丈夫と言っているので遠慮なく助手として育ててしまおうと思った。


そこで「パン」と手が叩かれ現実に引き戻される。


「では、あなたたちをアレクセン公国の辺境都市デハートへ送るわ。ミリーナはこの世界の先輩として佳代子へ常識を教えてあげること。いいわね?」


ミリーナは首を縦にぶんぶん振っている。佳代子は赤べこを思い出しつい笑ってしまった。


「佳代子、笑っている場合ではないわよ。辺境というのは医療が発達していなくて魔物が多い地域なのだからあなたの仕事にあふれている場所よ。多分」


最後の多分で大なしになったが、私のことを考えてくれているのだと思うと嬉しくなった。


「分かった。頑張るよ」


「それじゃ。行ってらっしゃい」


ロジーナがそういうと私の目の前の風景が一瞬で街並みへと変化した。そしてそこは汚れた包帯を巻き、頑丈そうな装備を身にまとった人が大勢いる場所だった。


ミリーナが私の服の袖をつかんでいる。怖がっていると思い目を向けると。


「ここは冒険者ギルドの前。まずはここで治療を行う許可を貰おう」


そういうとミリーナはすたすたと冒険者ギルドの中へ入っていき受付に向かった。私はそれを急いで追いかけた。


「お姉さん。この人、けがの治療ができるのだけれど場所を貸してくれないかしら?」


「えーと。ギルドマスターに確認してきますぅ」


なんだかおっとりした受付の人は駆け足で2階へと上がっていった。


少しの間待っていると、耳の長いきれいな女性を連れて、先ほどの受付嬢が戻ってきた。


「あなたが治療ができるという人?すこしテストに付き合ってくれるかしら。合格だと判断したらギルドの一角で治療行為をすることを認めるわ」


私が迷っているとミリーナちゃんが。


「分かった。ポーションとけが人を準備して、ポーションの代金はつけで。ちゃんと契約書を書くから」


そういうことで私は、ギルドで医療行為をすることになった。私が思ったのは。もっときれいな場所を用意してくれないかなということだったが。

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