第三章 1.初めてのおでかけ
翌日快晴
「良い御天気日和ですね」
そう私は言いながら、人ごみの激しい商店街を見た。
「そうですね……どうせなら、ピクニック日和と言える天気で、買い物日和では無いですね……」
楓さんも人ごみにうんざりしているようだ。
「人が……ゴミの……」
「凪ちゃん!!ストップ!!それ以上、口にしちゃダメ!!」
「凪!!それ人ごみで言っちゃ駄目!!」
私たちは同時に凪ちゃんに口を押さえた
「う……むぅ……」凪ちゃんは、不貞腐れた
「ごめん!!でも、あの発言は……」
私は不貞腐れる凪ちゃんに謝るが、凪ちゃんは聞く耳を持たない
「良いんですよ、朱鷺さん、あれは凪が悪いんですから人をゴミ扱いするなんて……」
「してない……御約束……人ごみでの……」凪ちゃんがそっぽを向きながら答えた。
「その御約束が間違いなんです!!」
「違うもん……」
私を間に挟みいがみ合う……
「あの……生き心地がしないんで……そんなに喧嘩せずに……」
「だって……凪が……」
「楓が……うるさい……」
ああ……二人して……
「二人してそんな事言わないでください!!せっかくのお出かけなんですから!!楽しく!!」
「「でも……」」
「アイスを買ってあげますから……楽しく行きましょう」
私は、駄々をこねる二人に子供騙しの手を苦し紛れで言うと……
「ぼく……チョコ……」凪ちゃんがいがむのを止め、私の腕を掴んできた!?
「凪!?何をしているんです!!」
「だって……アイス食べれる……人ごみに流される危険……」と言いながら私の腕に抱きつく……
「ちょっと!!腕……」流石に腕を抱きしめられるのは……
「朱鷺さん!!なにやっているんですか!!」
「いや……私は別に……」私は悪くないのに……なぜ怒鳴られるんだろう……
「楓……うらやましいの?」
「なっ……なにを言うんです!!凪!!」楓さんは顔を赤くして怒る
「楓も……腕を取らないと……はぐれる」だが、そんな事を気にせず、凪ちゃんは楓さんにそう言うと……
楓さんは、そわそわしながら、私を見ては……眼をそむける
私はそんな彼女を、少し可笑しそうに笑うと、
「何を笑うんです!!」と怒られたから、手を差し伸べた
「楓さん、はぐれるから、手を握ってください」そう言うと……楓さんは……恐る恐る手を握ると……
「べっ、別に、はぐれるから手を握るだけで何にも無いんですからね!!」そう言われて、また私は笑いそうになった。
「ほっ、本当にそうなんですからね!!」
「わかってますよ~それより、楓さんは、アイスは何が良いですか?」凪ちゃんのチョコは聞いたけど……楓さんのはまだ聞いていない
「そっ……そうですね……私は……」楓さんが何かを言おうとしたとき
「朱鷺!!あそこの店!!」
凪ちゃんが、私の腕を引っ張った!!
「ちょっと!!凪ちゃん痛い痛い!!」
私は、腕を引っ張られながら、凪ちゃんが行こうとする方向を見た
「あそこの……お店……美味しそう……」と眼を輝かせて、凪ちゃんはクレープ屋を指差していた
そのクレープ屋は、ピンクがメインのリボンをイメージしたような少女趣味全開のお店だった……
店の前では「ただいま、カップルサービス中デース」と店員が宣伝していた
「朱鷺さん、丁度良いですね~あそこのお店に行きましょう!!」
「楓……話し合う……早く……行こう」と二人で腕を引っ張られ、私は抵抗する前に、店内へと連れ込まれた。
「いらっしゃいませ~ただいま、カップルサービスで10%OFF……」
店員は私の常態を見て固まった、そして周囲の他の定員は、小声で
「あれって……カップル?」「兄妹?」「援交?」と囁かれていた……
「私たちは、か……」家族ですと答えようとしたとき、楓さんが
「カップルですから、10%OFFで」とにこやかに言われた……
「そうですか~では、証明をお願いします」落ち着きを取り戻した店員は、そう言った。
「しょっ……証明?」私がそう呟くと、店員は、チラシを取り出した……それには……キスをして割引と書かれていて……
「こっ、これって……」楓さんが、顔を赤くする
「たまに恋人と偽る人がいますから~まあ、流石に人前で口づけは、あれですから、頬のキスで良いですよ」
と笑顔で言うが……そんな事出来る訳が……
「朱鷺……ちょっと……屈んで……」凪ちゃんが、私の腕を引きながらそう言ってきて……
「やぁ……」と私の頬に顔を押し付け……頬に柔らかい感触がした……
「なっ……あっ……えええ?」あまりの出来事で私は、凪ちゃんを見るが……
「これで……良い?」凪ちゃんは平然と店員を見た
「はっ……はい、良いですよ!!」と慌てて答え……
「なっ……凪!!」楓さんが吼えた!!
「なに?あれって……三角関係?」
「でも……あの驚き具合……」
「僕としては、あの幼い感じの子が……」
「「このロリコンが!!」」
周囲の店員が、私たちを見ながらそんな事を話ていた……
それから、なぜか私の凪ちゃんは、楓さんに叱られ……その事から家族である事が解り……サービスは取り消しとなった
「楓のバカ……10%OFFが……」
凪ちゃんはそう言いながら、チョコレートクレープ(バナナつき)にかぶりついた。
「私は悪くないです!!あんな事をする凪が……」苺クレープを楓さんはかじった。
「もぐもぐ……初めに……恋人同士と言ったのは……誰?」と凪ちゃんはジロッと楓さんを睨んだ。
「そっ、それは……」
「もう、二人とも、そんなに話していたら、クレープが溶けるから……大人しく食べようね」
いい加減二人の喧嘩を周囲の人にジロジロ見られるのに恥ずかしくなった……何も問題を起こさず……
「きゃ!?」
「俺の服になにつけんだよ!!」
そう考えた傍からこれだよ……私は楓さんと凪ちゃんを見るが……不貞腐れながらクレープを食べていた
「あれ?」そう思ったとき……
「朱鷺……あそこ……」不貞腐れながら、凪ちゃんが指差すと……
同じ様にクレープを食べていた中学生くらいの女の子が、複数の高学生にぶつかって制服を汚してしまっていた。
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