第二章 1.新たな生活と借金取り
「何です!?この家!!」私の家を前にして、楓ちゃんが驚いた
「いや……私の家だけど……流石に、前に住んでた家じゃ、君たちの寝床が無いから…引っ越したんだよ」
確かに……3人で暮らすには確かに広いけど…仕事仲間のおかげで安くなったし……
「だって…フリーターなのに…なんでこんな大きい…」いつか自分が、ちゃんとした作家だって言うべきか…
「おお……広い……楓……この部屋広い…」凪ちゃんが、自分の部屋を見て喜んで楓さんの所に来た
「これ位あれば…借金だって…」そんな声が聞こえたが、私は聞かない事にした
彼女もわかっている…自分が今言った事は、どれだけ身勝手な事かも…
「高校は何処に行くか決めたのかい?」私は二人に尋ねた
「いいえ…途中入学できる高校を探しているけど…」
「朱鷺……ネット繋いで……良い?」凪ちゃんが話しかけてきた
「別にいいけど……PCあるの?」凪ちゃんは頷くとノートPCを掲げた
「それなら、繋げば、自動的に使えるようになるから…それと、行く学校がまだ見つけられなかったら……私がどうにか出来る学校があるけど…そこに通うかい?」
文系の高校と言う訳ではない……ファンの人の経営する学園だ
学校物の話を書くときの情報源でもあるから、友人としての付き合いもある
「どんなコネで……そんな……学校とか行けるの?」
「いや~気が合った人でさ~困った事があれば手を貸してくれるって、言われて……」
我ながら見苦しい言い訳だ
「考えときますけど……ここの家の注意事項とかありますか?」
「それなら……私の部屋には入らない事と…どんな事があっても、私の部屋からの電話は取らない事、そして、私が居ないときの私宛のお客は、帰ってもらう事と言うか、居留守にしてくれれば良い」
「変な決まりですね……」
「私のプライベートなんだよ~これを守ればOK」
「料理の方は……」
「とりあえず、家事は私の役目だから……手伝えるときに手伝ってくれればいいよ」
私は笑顔でそう言った
「わかりました……」なんか…この家を見てから、楓さんの心が一気に遠くなったな…
そんな事を考えていると…家のドアが乱暴にノックされる…
私はしぶしぶと、来訪者の顔を見ると…柄の悪いヤーさんの姿が見えた
「おい!!金返せよな!!ああ!!」
ご近所に聞こえるような声……
「お前の借りた金いい加減、利しつけて返せよ!!」
私は頭を傾げた
「これはどういう事だろうか?」
「あの……やっぱり無理して…お金を作って…私たちを引き取ろうと…」
「もう…出て行かなきゃ……いけ……ないの?」
二人が不安がる……はぁ……何処のどいつのだろうか…
私は、二人にここで待つように言うと、玄関へと向かいドアを開け、懐に手をやり…
手を離した。
「何の御用ですか?」柄の悪いヤーさん3人…見覚えの無いやつだ…
だから、仮名としてヤーさんA・B・Cと名づけよう
ヤーさんAが私に話しかけてきた
「お前のお兄さんの借りた金を返せと言ってんだよ!!」
「おかしいですね?借金は、あの家と土地と遺産放棄でこない筈なんですがね?」
私は可笑しそうに言うと
「あの家も、土地も俺達のもとには来てねぇよ!!」ヤーさんBが私に言う
「遺産放棄の事だけどよ!!アンタだけはその放棄をしてねぇから、アンタから奪いに着たんだよ!!」
「へぇ……家も土地も、貴方たちの元に行ってない……」
Cが更に追い討ちをかけるように話してくる
「だから、借金は、お前が返すんだよ!!」
「で、いくらです?」
ABCが同時に話す
「「「2000万だ!!」」」
私は溜息をつく…確かに返せる範囲内だ…
だが、大人しく払う義理はない上に……搾り取られる可能性もある
だから…
「証拠は?」
「「「はぁ?」」」
ヤーさんが訳のわからない顔をする
「貴方たちがお金を貸したと言う証拠ですよ」
私はため息を大きく吐くと、呆れた様に言う
「俺たちが貸したんだ!!それが証拠なんだよ!!
やっぱり、フリーターのアンタが、返せる額じゃないからびびってんのか?」
私は口を閉ざす
「え~と、話をまとめましょう……
まず、借金は返せていない、そして、私の遺産放棄がなされていない、
さらに、借金は2000万で、間違いないですね」
私は、わざとらしく大きな声で言う
「ああ、そうだよ!!フリーターには払えない額だろ!?どうやって返すんだよ!!」
脅しをかける大声で私に問いかけるA
「そうですね……フリーターには、無理ですね…フリーターには…」
私は口元を歪めた
「じゃあ、家からお嬢ちゃんや家具から全て持って行かせて…」
「お嬢ちゃん?この家に娘がいる事を知っているんですか?」
「当たり前だ!!ここに借金を作った娘がいるのは調査済みなんだよ!!」
Bがいやらしい笑いを浮かべる
そんな顔を見るのがもう飽きた私は……
「一つ、お尋ねしましょう」
「なんだよ!この期に及んで…助けてくださいか!!」
「いいえ、何でフリーターと思うんです?」
「なに!そりゃ…フリータの家だから…そう思っても……」
ヤーさんたちは私の家を見る…立派な一軒家……
「これがフリーターの家ですか~それに、今日着たばかりの娘たちの居所を何処で突き止めたのかな?」
ヤーさんは顔を青し、それでも、どうにかしようと考えている…
私は笑みを浮かべ……
「そして最後に、ご忠告…この家のセキュリティーは、ドアを強く叩くと警官が来るんですよ~」
私の言葉にヤーさんの動きが止まるが…
「そんなホラ話誰が信じるか!!もういい!!全部持っていけ!!」
ヤーさんAが、馬鹿まる出しで叫び、他の二人も、それに続こうとしたが…私の我慢の限界が切れた
「いい加減にしろ……ここまで優しく言っているんだ…これ以上あの子達を困らせるなら……」
私は、ヤーさんAの襟首を掴もうとした瞬間
「そこでなにをしている!!」
警官が数名走ってきた。
私は素早く手を隠し距離を取ると
「不法侵入です、それと強盗未遂及び脅迫などの現行犯です」
私は手を上げながら言った
ヤーさんは、警官が出てきて、慌てて私の肩を掴むと
「いや~昔の友人を訪ねてきたんですよ…懐かしくって……大声を……」
「いいえ、こんな人知りません、早く連れて行ってください」
私はその手を叩くと、ヤーさんから距離を取った
「なんだよ!!脅したり、強盗しようとした証拠はあるのかよ!!」
ヤーさんCが私を指差しながら言うが、私ははっきり言って、この言葉を待っていた
「証拠ですか~証拠なら……」私は懐に手を入れて、取り出す……
録音され続けているボイスレコーダーを……
そして……停止ボタンを私は押すと、再生した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます