今の日本ってインフレ型の不況じゃないの?

ひとしずくの鯨

第1話

 先日、電力の購入先を、携帯電話系から地元の電力会社に戻した。特典やら何やらで以前は前者の方がお得だったのだが、今では燃料費調整単価の差額(前者は上限無し、後者は従量電灯Bを選べば上限有り)で後者の方が安い。

 

 ただ、言うまでもなく相対的にはお安いのだが、以前の電気代と比べるとお高くなる。それで、お題の疑問を持った訳である。


 もともと、私は日銀(あるいは政府のと言った方が良いのか)の言う経済戦略というのが良く分からなかった。とにかく、デフレは良くないと。物価というのは上がった方が良いのだと。そして、何となく、そこに込められているのは、物価とともに賃金も上がると。いわゆるインフレ型が良いと。よりその意を汲めば、コントロールされたインフレ型ということになろうか。なぜ、インフレ型が良いのか分からぬも、まあ、いいや。


 ところで、私の大きな疑問は、上記の経済戦略に『成長』というニュアンスが紛れ込んでいたことである。もちろん、大谷さんのように、これまでに無い大金を稼げる個人というのが出て来てはいる。ただ、日銀が言っているのは、言うまでもなく、国単位での量的成長のはずである。しかし、単純に労働人口が減って行く過程で、そんなことあり得るの?、という訳である。


 少なくとも教育水準という観点では、日本はピークアウトしていると言って良い。世界が驚く日本人の識字率の高さの裏には、「普段使っている言葉」と公共語が重なっている人口比率の高さがあるのだが。それでも、日本人は勤勉であるし、これ以上、教育水準が上がるということは無いだろう。


 また、バブル時代には既に、往時、最も高く売れた製品――車や電化製品(テレビや冷蔵庫、冷暖房機など)――で、日本は欧米にあるいは並び、あるいは上回ったのである。


 この上ってあるの? という訳である。


 私自身、日本が貧困化する、というのは、正直、あまり想像ができなかった。別段、バブルの恩恵を受けたことは無かったが、それでも、教育水準が高く、また勤勉な日本人が、世界の後塵を再び拝することになるとは想わなかったのである。


 結局、今になって分かるその過程をいくつか分ければ、

1.非正規雇用の拡大。

 これについて言えば、恐らく日本国民の多くが主体的に政治判断したというより、何となく、こうなってしまっているというのが実感であろう。ただ、子供たちの世代にずいぶんと大きな荷物を背負わせてしまっているというのは、年配の世代の感じることでは無いか? いずれにしろ、昔は正社員というのは、特に憧れるものでもなかったのである。日本の法制では、正社員はしっかり守られているが。就職時の運・不運で、これから外れると、その後、苦労することになる。会社単位の日本の労働組合の形態も、正社員を守りはすれ、ということになる。

 会社を経営する側に立てば、景気の調整弁として、当然、非正規雇用の制度を利用することになる。ときどき、阿呆の如く、『優秀な』ということをつけて述べるコメンテイターがいるが、経営者であれ、労働者であれ、多くはそれから外れる。一見、優秀と見える人もその多くは運が良い人であり、『常に優秀な人』――大谷さんのようにね――というのは稀なのである。

 日本政府はアメリカ政府の意を受けて、この方向へ進んだとも言われるが。かつて、自民党というのは、保守とリベラルの混在した政党と言われた。いわば、アメリカの共和党と民主党が合わさって政治を行っていると。そこに質的変化が起こっているのかというのは、正直、良く分からない。

 日本が小選挙区制へ移行したのは、政権交代をするためという議論だったように想うが。

 まあ、ここらへんは、一度、ちゃんと調べようとは想っているのだが。


2.利益を上げられるものの変化。

 今では、マイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾンなどが高い利益を上げている。ここに日本企業が食い込めていないというのは、努力不足とか、そういうところとは無縁なところと想う。アメリカでビジネスを始め、そこで受け入れられ、それを世界に展開するという道が見える。

 (車は相変わらず利益を上げられる業種ではあるが)


3.ウクライナ戦争に起因する今回の状況

 物価高に見舞われているには、日本だけでは無いと聞く。というより、ロシアからの天然ガスに依存するヨーロッパは最悪であると。


 それで、想うのはデフレからインフレになったけど、結局、不況じゃないの。でも、今の方が厳しくない? ということである。何だろう? 日銀。 何だろう? 自民党。 何だろう? それを選んだ日本国民。


 


 


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