[11] 注意
最後にゾンビに遭遇して逃げることができない場合についてです。
地形的に移動が難しい、脚をケガしている、いろいろ事情は考えられるでしょう。戦うことを余儀なくされている状況を想定してみてください。
とにかくゾンビから距離をとることができないならどうすればいいのか?
落ち着いてください。落ち着けば案外どうにかなります。
さっきも言いましたがゾンビの身体能力は総じて低いです。正面から1対1で戦えばまず負けることはありません。戦闘=敗北ということではないのです。
積極的に戦うべきではないのですがいざ戦うとなったときにあんまりびびりすぎるのもよくありません。慌てず冷静に対処すればどうにかなると思っておきましょう。
ただしこの時、最大限の注意を払わなければならないことがあります。
感染です。
ゾンビもしくはゾンビの体液に接触することで感染する可能性があります。勝利したとしても自らがゾンビになってしまっては元も子もありません。
感染を避けるためにできる限り距離をとって戦いましょう。
自分たちの業界では基本的にゾンビとは2対1で戦うことが推奨されています。こちらが2でゾンビが1ですね。
これはきちんと政府発行のガイドラインにのってる話ですよ。国連がだしてる資料がもとになってるので海外でもだいたいの事情は同じですね。
1人がさすまたでゾンビを押さえつけてる間にもう1人が鈍器でゾンビの頭部を破壊するという体制です。ちなみに3人いる場合は、さすまた2で鈍器1の構成になります。
鈍器はわりとなんでもいいです。バットを使ったりバールを使ったり自分が使いやすいものを各々使っている感じですね。個人的にはバールが扱いやすいと思っています。
あなたたちがいざ戦うとなったら最初は近くにあるものを手当たり次第に投げましょう。運がよければそれで倒せることもあるでしょう。
その時、接近を許された場合を考えて距離をとって戦える長物を確保しておくといいです。自分で取り扱えるものならなんでもだいじょうぶです。まあ多分選り好みしてられる状況ではないと思いますが。
やむをえず接近戦に持ち込まれたなら狙うは頭部です。ためらわずに全力でぶっつぶしてください。
ゾンビはすでに人ではないです。それを殺害したところで罪に問われることはありませんから。
たとえ元が知り合いでも躊躇してはいけません。ゾンビから回復した事例は今のところゼロです。
ゾンビは様々な機能を失っていますがそれでも脳から指令を出していることに変わりはありません。頭部を破壊すればその活動は停止します。
頭部以外の破壊はあまりおすすめしませんね。彼らは機能が単純化してる分非常に生命力が高いです。腕の一本ぐらいなくしたところで構わずつっこんできますよ。
人間と同じように考えていると手痛い反撃をくらいます。
ゾンビを停止させようと思ったら徹底的に頭部を狙いましょう。腐ってるせいで耐久力は低くなってて人間よりは脆いです。
それなりの武器がなくてもあきらめてはいけません。最悪、拳で戦ってみましょう。それでゾンビに勝利したという報告は少ないですがあります。
国内でも1例あったかな。私はやったことないですし、やろうとも思いませんけどね。
ゾンビ及びその体液に接触したとしても必ずゾンビ化するわけではありません。
接触が疑われる場合すみやかに洗浄してください。水で洗い流せばOKです。特殊な薬剤を使う必要はありません。
衣服はクリーニング屋に持っていきましょう。家でも洗えないことはないですが手順が面倒ですので。
クリーニング屋ではゾンビと接触したことを正直に申告することです。多少の割り増し料金を要求されますがきっちり消毒するためには必要です。
現在ではゾンビ接触者には10日間の自宅待機が義務づけられています。
10日たってゾンビ化の兆候が見られなければ問題なしと考えてしまって構いません。
日常生活に戻ることができます。
私の話は以上になります。
最後にもう一度だけ重要なポイントを振り返ります。
まずゾンビに出会わないようにしましょう。それから出会ってしまったら極力逃げるようにしましょう。最後に逃げられない場合は慌てず落ち着いて戦いましょう。
この3つに注意して夏休みを楽しんでください。
それではご清聴ありがとうございました。
◆
つまらない話だろうに生徒たちはわりとちゃんと聞いてた様子だった。
まあゾンビについてテレビで報道されてるけど知ってるようで知らない業界の話だから聞いててそれなりに楽しかったのかもしれない。
わざわざ「興味深いお話でした」と言ってきた先生もいた。まあそれは世辞かもしれないけれど。
謝礼は思ったより多かったがぐっとくたびれた。慣れないことはするもんじゃない。
来年また頼まれたらどうしよう? 悩む。
が次はもっと楽にしゃべれるだろうしやってもいいかもしれない。ちょっとした小遣い稼ぎと考えるなら悪くない。講演内容をがらりと変えなくてはいけない、なんてこともないだろうし。
まあその時のことはその時考えるとしよう。
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