自転車三列

@battera13

自転車三列

 いつも僕の前に自転車が二台走る。

「ねえ、僕も二人の自転車の中に割り込んでいいかな。僕も二人の話に参加したいんだよ。今日の授業とか明日のテストのこととか。何で僕だけ仲間外れなの。僕って君たちにとって友達なのかな。確かに道幅は狭いから三列並んで自転車が走るのは危険だけど。でも、それで会話に参加できないのは悲しいよ」

 こんな気持ちを二人に伝えたらどう思うだろうか。今でこそ一緒に帰ってはくれるけど、いつか仲間外れにされるのではないだろうか。自転車二列が四月のクラス替えから半年。もう、気持ちの限界だ。言ってしまって仲間外れになるなら……。

 僕はハンドルを切って別の道を走った。もう、僕の前には二人はいない。

「早く家に帰ろう!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自転車三列 @battera13

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ