俺が思い出したことでまた動き始めるラブコメ
タケバタケ
第1話 今さら、思い出す。
ピピピピッ………
目覚ましの音が鳴り響き俺は目を覚ます。
「う~ん」
俺はベットから起き上がり、朝食を食べに一階に向かう。
「おはよう」
リビングには親がいたので声をかける。
「ほらっ! 早く食べて準備しなさい。結菜ちゃんが待っているから」
急かすように言ってくる。
「わかってるよ、早く準備するから」
「あんなに良い子いないんだから大切にしなさいよ!」
「わかってる」
そう言って、朝食を食べ学校に行く準備を整える。
***
玄関を開けると可愛い子がいる。
「結菜おはよう」
「おはよう! とも君、早く行こ!」
目の前の元気溌剌の彼女が俺の幼馴染であり、恋人の
彼女との関係は昔からあり、俺たちが恋人になった時、親も喜んでくれた公認の関係だ。
俺たちは付き合ってからほぼ毎日一緒に通っている。
結菜とは昔から家が近くでよく遊んでいたので仲が良かった。
ある出来事が起こって俺は結菜のこと好きになった。
それで2、3ヵ月前の春休みに入る直前に好きという気持ちを伝えた。結果は、今があるように想いが通じあった。
いつも思うがあの出来事があったから、この関係になったと思う。
俺は去年の秋に記憶喪失になって一時期の記憶の一部を忘れてしまった。
家の近くの公園の階段で転んで倒れていたと結菜が教えてくれた。結菜が倒れていた俺を見つけてすぐに救急車を呼んでくれたそうだ。
その後、記憶を一部失って混乱している俺を支えてくれたのでとても感謝している。それで好きになった。
けど記憶を失う前、一時期俺は結菜との関係が微妙だったらしい。
昔から結菜のそばにいつもいたが、その時はあまりいなくて喧嘩もあったようだ。
それよりも何故転んだのかとても気になる。誰かに押されたりして?
まあ、気にしてもしょうがない。今は幸せなのだから。
「そういえば、とも君今日の体育は体育館だったよね!」
「うわー、今日の体育はバレーだったな、面倒だな」
「今日の体育は女子も体育館だよ! とも君のカッコいい姿見れるの楽しみ!」
「あまり期待するなよ、まあ、結菜の為に頑張るよ」
「ありがとー! 楽しみにしてるよ!」
そんな感じで朝から他人の視線を感じながらもイチャイチャしながら登校しクラスに着く。
「朝からお熱いね~、お二人さんは」
クラスに入るとチャラ男ぽいけど、普通に良い奴の友人の
「勇司か、おはよう」
「おはよう! 勇司君!」
「朝っぱらからイチャイチャして、見せつけるね~」
俺は勇司がからかってくるので返す。
「良いだろ、羨ましいか?」
「羨ましいわ。そんな可愛い子とお前が付き合えるなんてずるすぎ! 俺には、ほとんど、そんな良い出会いがないぞ!」
「大丈夫だよ!、勇司くんにも良い子が現れるよ!」
といつもどうり、結菜が励ます。
「やっぱり結菜ちゃんは優しいな! ほんと、智也が羨ましいわ」
俺はそんな会話を続けていると、クラスに入ってきた女子に視線を移す。
「あっ! 瑞季さんおはよう~!」
「瑞季、おはよう!」
と結菜と勇司が声をかける。
彼女はクラスメイトの
誰もが認める美少女でクラスの人気者だ。
「二人ともおはよう。智也君もおはよう」
「ああ、おはよう」
彼女は勇司と同じで去年、同じクラスになってからよくつるむようになった。それで、いつもこの四人で過ごしている。今年も同じクラスだったからな。
この二人も記憶喪失になってしまった直後とても心配してくれたので感謝している。
「そういえば、今日の体育、女子も体育館だったよな。結菜ちゃんと瑞季さんに良いところを見せるぞ!」
そう言って勇司が盛り上がる。
「勇司君も頑張れ~!」
「勇司さん頑張ってね」
二人は応援する。
「智也さん、カッコいい姿見せてね」
と笑顔で佐々倉に言われた
「ああ、頑張るよ」
結菜にも応援されてるし、今日は頑張ろう。
四人で会話をチャイムが鳴るまで続けた。
***
俺たちは体育館でストレッチをしている。
「ほらっ、次は俺たちの番だ」
「とも君、頑張って!」
結菜が期待しているように言う。
「ほらっ行こうぜ智也」
「ああ、頑張ろう!」
試合が始まりバレーをするが、内心バレーは苦手だ。まあ結菜達に頑張ると言ったから全力でするけど別のことを思う。
思い出せないあの頃の記憶、何があったか?大切なことを忘れているような気がするような………
「危ないぞッ! 智也、ボール!」
ぼーっとしてた!気づいたら目の敵にボールがあった。
「痛ッ!」
ボールに当たりそのまま床に倒れる。
「とも君!」
結菜の声が聞こえる。
それよりも倒れる直前に見えた焦った様子の結菜が何処か既視感があるなと思った。
***
夢の中。
『俺は瑞季のことが好きだ! 付き合ってください!』
俺が瑞季に告白をしている。瑞季の顔が見える驚いた様子だった。
『……私を選んでくれてありがとう! これからよろしくね智也君』
俺は成功したようだ。
瑞季は笑顔で返事をしてくれた。忘れられない美しい笑顔だった。
『俺は瑞季一筋だよ』
『今日の瑞季はとっても可愛い』
『皆が知らない瑞季を知れて嬉しいよ』
『俺今、とても幸せだよ』
場面は変わっていき俺と瑞季が親しくしている様子が見える。
何故かそれは一度見たような気がする。記憶喪失になってからずっとモヤがかかっていた何がが晴れていくような感じがする。
これは本当に夢なのか?
次に場面は遊園地に変わる。
『良い景色だな』
俺と瑞季は二人だけで観覧車に乗っている。
『今日はとても楽しかったよ』
『また今度、一緒に行こう』
俺は覚えているこの景色を。俺は一生忘れることはないと思っていた時間だから。
『瑞季と恋人同士になって毎日がとても幸せだよ、俺の方こそ瑞季が選んでくれて感謝しているよ』
『改めて瑞季に言いたいことがある。』
俺は真剣に瑞季の顔を見ながら言う
観覧車は一番上にもう少しで着く。夕日で中が染まる。
そうだ、何で忘れてしまっていたんだ! これは夢じゃない! 俺にとってとても大切な思い出だ!
どうして! どうして! この記憶を忘れてしまっていたんだ! この気持ちを!忘れてはいけなかった!
俺は瑞季を誰よりも…
『愛している』
夕日に照らされた瑞季の顔には涙と笑顔が浮かんでいる。その涙には何があるか、まだわからない。
けどそれよりも夕日に照らされ、際立たせるその笑顔は瑞季にとても似合う美しい笑顔だった。
俺が思い出したことでまた動き始めるラブコメ タケバタケ @kimako07
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺が思い出したことでまた動き始めるラブコメの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます