第9話 推し活資金も必要だよね


名物リスナーになりたい。


と、より強く思ってから数日が経った。


あれからもモニカちゃんの配信はしっかりと見ているし、コメントもしてる。


当たり前だが、俺のコメントが拾われることはあってもそれが話題になることはなかった。

基本的に、他のリスナーが面白いコメントをして、そこから話に発展することが多かった印象だ。


ただ、俺を舐めないで欲しい。

ちゃんと、配信の中でどんなコメントをすれば

ウケるのか。その配信の名物リスナーのコメントの仕方などそういうのに着目して配信を見ていたのだ。


もちろん、配信を楽しむことも忘れない。

話題ができればそれに関するコメントを打つし、面白いリスナーにツッコミみたいなコメントを打つこともした。


そして数日経った今も、それを続けている。


○○○○○


「━━━たすく

あんたそろそろアルバイト始めたら?」


朝起きてすぐ、リビングにて母からのご提案。


「新しく就職する為にお金必要でしょ?

お母さんそこまで面倒見れないよ?」


「……確かに。それは俺も思ってた。」


「思ってたなら言われずにアルバイト探しなさいよ……。」


ぐぅ。母の言ってることが正しすぎてぐぅの音も出ない。


しかし、お金が必要なことに変わりはない。

今のところ、半年間勤務してた分の貯金があるが何もしなければ携帯代も払えなくなる。

自動車学校にも行かなければならないし、貯金などあってないような物だ。


「…バイトかぁ……どこが良いかなぁ。」



━━━その日の夜。

俺はいつものようにモニカちゃんの配信に顔を出す。


『みんなコンモニカ〜!今日もいっぱいお話しようねー!』


漢検2級持ち:

コンモニカ〜!


ねりまきの翁:

待ち侘びたぞ!コンモニ!


ヨシオ:

コンモニカ〜


佑:

コンモニカです!


本日は雑談配信。

いつものように、チリスナーが話題を提供しそれについて皆で話す。


その中で、俺はアルバイトをどこにしようか悩んでいた。

俺のような人は、一つやらなければいけないことが見つかるとそればかり気になって、他のことに集中できない。

だから俺は、配信を楽しんで見ることができなかった。



………あ、そっか。今配信中か。

しかもこれは雑談配信。もしかしたらバイト探してます。って言えばそれが話題になるのでは?


そうと決まれば早速コメントしよう。


佑:

話を突然変えてしまって申し訳ないんだけど、

オススメのバイトとかあるかな。


ふウちゃん:

最近は猫もウホウホ言うからな。


『…いや、猫はウホウホ言わないでしょw


……えっと、突然話を変えて申し訳ない

ううん!!全然いいよ!

オススメのバイト…

あー!アルバイト!ゆうくんバイトするんだ!

そうだよねー。悩むよね……。


私はね〜、焼肉屋でバイトしたことあるよ。』


さくらだみろあき:

バイトかぁ…。俺はすっきゃでバイトしてたな。

あの時はマジで地獄だったわ……。


ふウちゃん:

俺も今焼肉屋でバイトしてるわ!


ねりまきの翁:

俺はコンビニバイトしてるよ。

覚えること多くて大変だけど。


漢検2級持ち:

俺も焼肉屋だ。

家に近いから。


話はいつのまにか、よくわからない物からアルバイトの話な移り変わっていた。


『うんうん。

やっぱりチリスナーはバイト経験者多いね。


でもねー。私が言えることはね。

ちゃんと考えて選んだ方がいい。

ってことかな。


私、元々チェーン店で働いてたんだけど、

そこって出勤のノルマみたいなのがあって、

平日だとそれが達成できないから土日返上してバイトしてたんだ。


その分給料は良かったんだけど、体力にあんま自信なかったからすぐに辞めちゃったけどね。』



ふウちゃん:

へぇー。場所によって違うんだな。

俺のところは週に何度って、そういうの無いからさ。

とりあえず1日3時間以上っていうのだけある。


えんぴつグラタン:

初見です!


漢検2級持ち:

俺んとこも週に4日は入んないといけない。


ねりまきの翁:

↑俺の友人も焼肉屋でバイトしてたけど愚痴しか言ってなかったわw


さくらだみろあき:

すっきゃもなかなか鬼畜よ〜


『えんぴつグラタンさん!

初見さんいらっしゃい〜。


自己紹介するね!塵も積もれば……

……ゆっくりしていってね〜。


今はリスナーのアルバイトの話をしてるよ。

よかったら話していってね!


……うーん。皆の話聞く限り

バイトはどこも大変だと思うけどね…。

どこがいいんだろうね。


………あ!それならアルバイト経験者チリスナーさ、自分が経験したバイト先の良いところと悪いところをゆうくんにプレゼンしてみたら?

面白そう。なんか!』


…えー。なんかちょっと嬉しいんですけどー?


佑:

え!わざわざありがとう!


さくらだみろあき:

個人的にすっきゃはおすすめしないなぁ。

店によると思うけど、時間帯によっちゃ1人で回さないといけなかったり、業務の割に時給安いからね。

仕事内容は想像してる通りだと思う。


俺が続けてた理由も、そこしかなかったからだし。


ねりまきの翁:

コンビニは入る時間帯なよって変わるかな。

早朝はあんまりやること多くなくて、パンの検品したりゴミ出ししたり、揚げ物したりしたら大体終わるんだけど、朝の9時から22時くらいまでは弁当だったりゴミ捨てだったり、客も多いし、とにかくやることたくさんで大変かな。


深夜は眠いし、やることも多くて大変だけど客が少ない分割とすぐ終わって、暇な時間は裏で監視カメラ見ながら漫画読んだりしてる。



ふウちゃん:

俺は夜しか入ってないからそこの業務しか言えないけど、皿洗い、清掃、接客、配膳、補充。かな。


特に大変なのは皿洗い。

油が多いし数も多いし、嫌になるね!

煙が服とかについて匂うこともあったなぁ。


でも友達と一緒に入ってるから楽しいよ〜。


漢検2級持ち:

俺もそんな感じかな。

時給はいい方だと思うから、皿洗いが嫌じゃなければ……って感じ。


ヨシオ:

俺はね━━━



多くのチリスナーが、モニカちゃんの一言で

各々が勤めていた、又は現在勤めているバイト

のことを教えてくれる。

しかも、やることのメリットデメリットを教えてくれる為、

あぁここにはしたくないな。

ここなら別にやらないこともないな。

と判断しやすい。


配信の中で、色々な情報を元に俺はどんなバイトをするか考えた。


……そして、正直かなり悩んだが俺はどんなバイトをするか決めた、


それは


佑:

皆色々とありがとう!

皆からの情報を踏まえて、俺でもできるかなって思った、『コンビニ』でバイトしようかな。



『……あ、ゆうくん何するか決めたんだ!

…なるほど!コンビニね!じゃあ翁とえんぴつグラタンさんと一緒なんだね。』


ねりまきの翁:

コンビニは覚えること多いけど、覚えてしまったら結構簡単だから心配いらないよ!頑張ってね!

廃棄もらえるのは最高だよ…!


えんぴつグラタン:

迷惑客がいても、気にしなくて大丈夫ですよ!

周りのお客さんも、バディもきっと助けてくれますから!


Na-kun:

コンビニは王道だけどやっぱりいいバイト先だと思うな。

社会に役立つスキルとか身につきそう。


ふウちゃん:

ゆうくん頑張って!!


漢検2級持ち:

ま、楽しいことも沢山あるから無理しない程度に頑張って!



こうしてモニカちゃんやチリスナーの皆に応援してもらい、俺はやる気が出てきた。


そうと決まれば、早速応募の準備をせねば!


俺はそのまま配信を楽しんだ後、応募フォームで近くのコンビニを探すのだった。










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