短話#17.5 秘密の場所
私がクレアちゃんを連れて空間から出て来た時、クレアちゃんが突然ヘインに向かって
「ヘイン先輩!」
「先輩呼びはやめろって何度も言ったはずだろ…で、なんの用だ?」
「もう染み付いてるんで外そうにも外せないッスよ。ちょっと他のとこに行きたいんスけど、先輩もついてきてくれませんか?」
「行きたいところ…?別についていくのには構わないが、あまり危険なとこは行かないぞ。」
クレアちゃんが、大丈夫っスよ。と言い
「そんな危険なとこじゃないですし、むしろいいとこっス!」
それに、とクレアが続けて
「ウチが知り得る中で1番強い人なんスから、万が一のことがあっても大丈夫っスよ!」
クレアちゃんがそういうと、ヘインがはぁ、と嘆息を吐き
「…仕方ない。どうせメイプルもつれてくんだろ?いいさ。ついていってやるよ。」
そうヘインが言った途端に、クレアちゃんの顔がぱぁっと明るくなり、
「じゃあ、ウチについてきてください!」
「はいはい。行くぞ、メイプル」
「え、あ、うん!」
そうして私は、クレアちゃんの背中を追った。
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「ここっス!」
「ん、なんだ、随分と歩いた…な…」
「わあ…!綺麗…!」
私たちはクレアちゃんに連れられて、見事なまでの花畑に連れてこられていた。横でヘインが言葉を失っている。それほどまでに、壮観で、とても美しい景色だった。
「えへへ、ずっと、ヘインさんに見せたかったんスよ。この景色。」
「お前、いつの間にこんなところを見つけてたんだ…」
ヘインが唖然としてクレアちゃんにそう言った。
「結構最近っスけどね。で、で!気に入ってもらえたっスか?ここ、秘密の場所なんすよ!いまのとこ、ウチしか知らないとこなんス!」
ほんとに綺麗だ。いろんな色や種類の花が一面に咲いていて、その色も空間に調和してとても美しい景観を作り出している。
「メイプル先輩は気に入ってくれたみたいスね!えへへ、よかったっス!」
「まあでも、確かに壮観だな⋯生きてる中で、こんなすごい花畑を見るのも初めてかもしれない。」
ヘインも驚いている。無理もない。
「まあ、おふたりが気に入ってくれたら嬉しいっス!」
「教えてくれてありがとう!良かったらなんだけど、またここに来てもいいかな⋯?」
「全然大丈夫ッスよ!許可なんて要らないッス!」
「ほんと!?やったー!」
久々にこんなテンションが上がった。それほどまでに、美しく、また来たいと思えるような場所だったのだ。
「そろそろ集落に戻るか」
「む、ヘインさんの感想聞いてないっスよ。気に入ってくれたッスか?」
「あー⋯」
ヘインが後頭部を掻きながら、照れ臭そうに、普段のヘインとは思えないくらいに柔らかく顔を綻ばせながら
「あぁ、美しく、とても綺麗な場所だ。本当にそう思う。教えてくれてありがとう。クレア。」
と、言った。その言葉を聞いたクレアちゃんは明らかに上機嫌になり顔を綻ばした。
「その言葉を聞けて満足っス!いつでもここに足を運んでください!」
「あぁ、そうするとしよう。さて、集落に戻るぞ」
そうして私たちはその理想の花園を後にしたのであった。
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