第181話 飛ばされた先(東堂達也)
「くそっ! ここは何処なんだっ!」
ここは辺り一面真っ白で、氷の世界だ。
クソ寒いぜ。
あの白い蛇め!
俺様をこんな寒いところまで飛ばしやがって!
とりあえず手下どもを連れて移動するしかねえか……
「ふははは。これはまた、凄いところまで飛ばされた様だな」
「うむ。ここは世界の果てと言っても良いだろう」
「寒そうである」
声と共に俺様の前に黒い影のような物が三体現れた。
例の邪悪な神共だ。
「うっ、お前ら! やっと現れやがったか! お前らも神ならなんで俺様を助けなかった!」
「まさか、この地の神が再臨するとは思わなかったのだ」
「うむ。我らは別世界の神だからな」
「見つかるとまずいのである」
「別世界の神だと?」
「うむ。では混乱しないように我が代表して話そう」
真ん中でいつも二番目に話してくる神が少し前に出た。
「我らはそれぞれ、こことは違う世界の神だったのだ。だが、それぞれの世界で駆逐されてしまった神でもある。この地からやって来た者達のせいでな!」
「世界はそれこそ無数にあるのだ。お前にもわかるようにこの世界の言葉で説明すると、仮想世界が幾つもあるという感じだ。概念的にはその様な物だ。当然その中には我ら闇属性の神が強い力を持つ世界もあった」
「だがそこに、この地からやって来た者達がいた。その者達はその世界の常識を壊し、その世界では培えないほどの尋常ならざる力で我ら闇の勢力を駆逐し、最終的には我らを追い出したのだ」
「一度だけではない。それこそ何度も何度もな! 腹に据えかねた我らは結託してこの地を密かに滅ぼしに来たのよ。表立って直接的な事は出来ないが人間共の欲に語り掛け、破滅につながるウィルスの知識を与えて蔓延させ、あと一歩で滅ぼせるところまで来たのだ!」
「この世界はウィルスによりいずれ滅びる。だが、まだ生存者はかなりいるし、最後に神の使徒が一人残っている。その者達を総て滅ぼせば、我らの無念は晴らせたと言えるだろう」
言い終わると、その神は後ろに下がった。
「話は何となくわかったが、お前らの恨みなんか俺には関係ねえ! 俺は力が欲しいだけだ!」
「ふははは。良いだろう更なる力を与えようではないか」
「うむ。我ら自身も、もう無事で済むとは思っていないからな」
「復讐を完結させるのである」
「じゃあ直ぐに力を寄越せ! それとここは何処だか教えろ!」
「まあ待て万が一がある。まずは使徒以外の全ての人間を滅ぼし、もっと力をつけるのだ」
「うむ。ここは南極と呼ばれる大陸だ。全ての人間の魂を吸収せよ」
「吸収するのである」
「待て! どうやってここから移動すりゃあいいんだ!」
「ふははは。ならば移動できる能力を授けよう」
「うむ。お前とお前の部下の四体にな」
「飛行能力を授けるのである!」
邪悪な神達は自分勝手にそう言うと、煙のように消えていった。
飛行能力だと!
(ふわり)
おおお! 体が浮いたぞ!
こりゃあ凄え!
(ヒューッ!)
おおおー! 早いぜー!
……
(ぜえぜえ!)
少しはしゃぎ過ぎたか……結構疲れるな……
でもまあこんな能力まで貰っちゃあ仕方ねえ。
まずは日本を残して世界中の人類を滅ぼしてやるか。
「アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ!」
「「「「はっ!」」」」
「お前達はマンイーターと共に世界に散って、日本以外の全世界を滅ぼすんだ! 俺はアメリカに行く!」
「「「「ははあっ!」」」」
待ってろよ冴賢!
今度こそお前も、真理も、家族も、仲間も全部ぶっ殺してやるぜ!
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