第172話 苦戦、達也の正体(5/2)
達也と激突した僕は、そのままサイコブレードで黒い爪ごと斬撃で両断しようと思ったんだけど、いとも簡単に黒い爪で止められてしまった。
そしてお互いに高速で動き正面から何回か斬り合う。
最初のうちは互角だったんだけど、そのうちに僕が力負けして数mほど弾き飛ばされてしった。
僕だってサイコ纏いで身体能力を上げているのに何てパワーなんだ!
単純な力では僕は全く及ばないかも知れない。
それにサイコブレードでも斬れない物があるなんて思わなかった。
「ははっ! そんなモンかよ、ザコが!!」
僕は弾き飛ばされた空中で
「サイコバレット!」
(ドドドドドドドドドドッ!)
「しゃらくせえ!」
(ザシュ!!)
達也が両腕をクロスさせて黒い爪を薙ぎ払う様にすると、空中に発生した黒い斬撃が全てのサイコバレットを消滅させる。
「今度はこっちからだ! 死ねえっ!」
達也が高速移動からジャンプして空中にいる僕に黒い爪を振るってくる。
僕はそれをサイコブレードで受けたけど、凄い力で地面に叩きつけられた。
「ぐはっ!」
サイコ纏いで身体強化をしていなければ、今の一撃でたぶん死んでたと思う。
それでも少し内臓にダメージを受けたようで、口の端から血が流れる。
僕はなんとか立ち上がって空中に上がり、上から得意の
「
一旦火がついて燃え上がれば、
達也が目を見開いて驚く。
(ザシュ!)
だけど、黒い爪の斬撃で斬られるとそれもまた消滅してしまった。
アイツの爪は一体なんなんだ……
「ビビらせやがって! 降りてこい、この野郎!」
空中に静止する僕を達也が罵倒する。
その言から察するに、どうやら達也は空を飛ぶ事は出来ないみたいだ。
そこだけは僕の有利な点だ……
その辺りに活路を見つられないだろうか。
(サイコアクセルを発動します)
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アイジスが強制発動したサイコアクセルで、世界がゆっくりとした動きになる。
僕の体感時間が引き伸ばされたからだ。
(報告します。
(えっ! それじゃあ達也は本当の魔王になったって事なの?)
(はい。既に無数の人間達の魂を喰らっています。そしてこのままでは、この世界にある魂は全て喰らい尽くされる事になります)
(なら、絶対にここであいつを倒さないと! アイジス、どうすればいい? たぶん今のままじゃ達也には勝てない!)
(……戦闘可能時間は大幅に短縮されますが、
(なら頼むよ! ここで必ずあいつを倒す!)
(承知しました。これより全ての
結構長い会話をしていたけど、アイジスがサイコアクセルを発動して体感時間を縮めていたので、この間わずか二、三秒の事だろうと思う。
アイジスの調整後、サイコ纏いの青白い光がより強くなり、サイコブレードが太く強靭な刃に変わって身体も強く軽くなった様な気がする。
「これならっ!」
僕は空中からスピードを上げて達也に斬りかかる。
さっきまでの自分よりも全然速い!
(ザシュ!)
「ぐお!」
サイコブレードが反応出来なかった達也の片腕を根本から斬り落とした。
やった! 僕の攻撃が通じたんだ。
だけど達也は斬り落とされた腕を直ぐに拾い上げ、元の位置にグリグリすると簡単に繋げてしまう。
くそ、これじゃあキリが無い。
「てめえ、面白えぞ!」
「達也ぁ!」
アイジスの調整でパワーアップした僕と達也は、再度激突を繰り返した。
ーーーーー
(沢田虎太郎)
とうとう大将達も戦闘を始めた様だ。
俺達なら一撃でやられていそうな激突を繰り返している。
あれはもう大将に任せるしかねえだろう。
敵のジェネラルと呼ばれる奴らも動き出してる。
悠里の警告で分かったが、婦人警官の恰好をした奴は飛び道具を使うらしい。
悠里と遠距離での撃ち合いになってる。
もう一体の大柄な男の方は、どうやら自分の手足の筋力を自在に操れるらしい。
空ぶって地面に当たったクソでかい拳で校庭に大穴が開いたし、ハンマー越しに食らった蹴りで5mぐらいは飛ばされちまった。
サイコスレッジハンマーを持っている時に出来る、サイコ纏いという身体強化を使っていなければ一撃でやられていたかもしれねえ。
俺の自慢はパワーだけだったが、たぶんコイツには負けちまうだろう……
我ながら情けない。
敵のジェネラルが動き出してから倒せている変異体はゼロだ。
追い詰められているのは俺達の方かも知れねえな……
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(細井悠里)
とうとう敵のジェネラル達が動き出してしまった。
婦人警官の様な個体が指を銃の様に構える。
嫌な予感がした私は虎太郎君に叫ぶ。
「相手のジェネラルが何か撃ってくるわ! 婦人警官よ!」
そして予想通り銃弾の様な物が数発飛んできて、身体を掠める。
「つっ!」
少し掠ってしまった、痛い……
サイコ纏い越しに掠った弾でもダメージがあるらしい。
まともに被弾したら動けなくなってしまうかも知れない。
あちらは矢を凄いスピードで避けていて、こちらの矢が当たる気配は無い。
そんなのどうすれば……
虎太郎君も大柄な男の個体、物凄い筋肉が盛り上がる様に変化した相手に、凄いパワーで吹き飛ばされてしまった。
少し怪我もしてしまったみたい。
変異体もまだまだたくさんいる。
私達は次第に追い詰められていた……
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(平坂綾音)
私たちが3体ほどの変異体を始末した後、とうとう後ろに控えていた特殊な変異体が動きだした。
動き出した体格の良い個体にサイコブレード(刀)で斬りかかるが、簡単に弾かれてしまった。
やはり皮膚が硬質化した敵もいる様子。
相手の動き自体は遅いので、体の各所に斬撃を叩き込む。
首、手足の付け根、関節、指までが弾かれて、全く斬撃が通らない。
亡き父様の様な技術があれば何でも斬れるのかも知れないけど、もう教えてもらう事は出来ない……
「シャアッ!」
(ジュッ)
危なかった……
間一髪避けたけど、相手の口から酸のような物を吐かれて髪の一部が溶かされてしまった。
「お姉! コイツ私の斬撃が全然当たらないの!」
茜も苦戦している様だ。
私達とは相性が悪い相手かも知れない……
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(平坂茜)
変異体を倒していると、やっぱり特殊な個体が動き出した。
お姉の方の相手は斬撃が一切通じないみたいで、すっごく苦戦しているみたい。
私の相手は手足が伸びるタコみたいな奴で、サイコブレード(薙刀)の斬撃をタコの様にヌルヌルと躱してくる。
そして手足を鞭の様にしならせて攻撃してきて、その手足の動きに私は翻弄されてしまう。
斬撃が通じない相手は私達には相性が悪過ぎる。
特に私はまだ
冴賢君の助けも今のところ期待できないみたい……
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