第152話 お風呂を作ろう(2/3)

楽しい歓迎会が始まった。


主役である小学校グループの19人は中央のテーブルに集まってもらい、その他のグループのテーブルで周りを囲むようにしている。


流石に全員の顔合わせは無理があると思ったので、小学校グループの高校生達だけを新井家と親しいメンバー達に紹介していった。


パパは既に紹介済みなので、ママ、妹の玲奈、明日奈さん、莉子さんと秀彦君、光司君と美久ちゃん、早苗ちゃん達、虎太郎さんと鈴花ちゃん、明人君達の中学生グループ、綾音さん茜さん以外の平坂家の人、悠里さん、川上京子先生、小谷静香さん、元自衛官の佐々木さんと一条さんだ。


それ以外の人達にも顔合わせ的にテーブル単位で挨拶だけは済ませる様にした。


雄二ゆうじさん、皆さんも。挨拶回りお疲れ様でした。後はゆっくり食事を堪能して下さいね」


今日はバーベキューパーティでメインは炭火で調理した肉や野菜なんだけど、それだけだと味気ないし小さい子供も多いので、ビュッフェのような感じで各種のピザやパスタ、フライドチキンやポテト、握り寿司、唐揚げ、餃子、グラタン、白米とカレー、パン好きの人の為にクロワッサンなどを取り揃えて食べられるようにしてある。


飲み物もアルコールはビールと日本酒、ワイン、ウイスキーと氷、水などは用意してあり、ソフトドリンクとしてコーラ、メロンソーダ、オレンジジュース、りんごジュース、野菜ジュース、ウーロン茶、コーヒー、紅茶、日本茶なども揃えていた。


さらに女性も多いので口直しの甘い物として、各種のチョコレートやクリームをたくさん使った各種のケーキも取り揃えている。


スイーツ関連は、明日奈さんと莉子さんにアイテムボックスからチョイスしてもらったんだけど、二人とも選んでいる時は漫画みたいに目がハートマークになっていた。


小学校グループだけではなく、旧ホワイトフォートから追い出されてしまった形になる皆も、今はそれを忘れて美味しい食事や会話を楽しんでもらえればと思う。


「ありがとう。ふう、少し疲れたよね~」

「ふふふ、お疲れ様。頑張ったね雄二ゆうじ

「俺も疲れた~。でも可愛い茜さんの顔を見たらきっと疲れが吹っ飛ぶよ!」

「こ~の、女たらしが!」

「やれやれだな。俺達も食べるぞ」


雄二ゆうじさん麗華れいかさんが微笑み合い、直哉なおやさんが軽口を叩いて有紗ありささんつばささんが嗜める。


挨拶回りの間は先に挨拶を終えた明日奈さん莉子さん、綾音さんや茜さん達が、残された小学生や中学生の世話をしてくれていたので、あまり食べていないのは雄二ゆうじさん達ぐらいだ。


まだまだ食材も時間もあるので、頑張ってお腹いっぱい食べて欲しいと思う。





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この歓迎会は夕方遅くまで続け、もうこのまま夕食を兼ねてしまおうという事になっている。


一旦バリケードは出来て感染者の侵入は防げたので、戦闘訓練場の整備は明日にするとして、僕は小学校グループの寝床をどうしようかと考えた。


見たところ、小学校グループのいた教室にはちゃんとした寝具は無く、薄い毛布を何人かでシェアして床や教壇の上で寝ている感じだった。


まだ2月でとっても寒い季節だ。

昨日の帰りに暖かい布団でも出してあげれば良かったかな……


それと、お風呂に入れていない事も問題だろうし変えの洋服も無いに違いない。

戦闘訓練もある程度の期間は必要だと思うので、ここは少し力を入れて小学校を改造しようと決めるのだった。





ーーーーー





パパに了解を取った僕は、まず一階の端にある教室を風呂に変える事にした。

事前にどんな感じが良いかをアイジスと相談する。

なんとアイジスが水操能力アクアキネシスを操作する事により、温泉にも出来るとの事だ。


(それじゃあアイジス頼むよ。まずは女湯から)

(承知しました)


僕は右手を教室の扉に触れた。

すると僕にだけ渦巻きの様に見えるアイジスが、大きく膨らんでいってそのまま教室を包みこんだ。


何か少しだけ力を吸い取られる感じがする。

バリケード作成の時は感じなかった感覚だ。

多分だけど、改変する内容が複雑になるほど消費する精神力が多くなるのだと思う。


キャンピングカー改変は主に夜間にやってもらっていたので、あまり力を吸い取られる感じは無かったけど、使い過ぎには注意が必要かも知れない。


10秒ほど待つとアイジスが元の大きさに戻った。

特に凄く身体がだるいとかはなく、多少の疲労感があるだけなのでまだまだ大丈夫そうだ。


(女湯の作成が完了しました。給湯設備も校舎裏に作成済みです)

(ありがとう!)


さて、出来栄えを確認しよう!


見ると二つ合ったドアが一枚になっており、そのドアの前に〈女湯〉と漢字で書かれたのれんが掛かっていて、かなり本格的な感じだ。


中に入ると前は壁で横に靴置きがあり、その奥が脱衣所になっている。

脱衣所には扇風機や体重計も置いてある。


脱衣所のガラス戸を開けると、シャワーが五つと広めの浴槽があった。

ボディソープやシャンプー、リンス等も置いてある。

窓もあるけど外からは見えないように擦りガラスになっている。

ちゃんと換気扇も付いている様だ。


本当に小さい温泉宿に来たみたいな感じがする。

これなら8〜10人ぐらいは一度に入れそうだ。


だけど、冷静になって考えると今は全部で159人いる。

女性と子供が多めだからお風呂が10交代制ぐらいになってしまいそうだ。

さらに女性はお風呂が長いから、これだと一日中お風呂になってしまうかも。


(ごめん、アイジス。やっぱり反対側の教室と廊下部分も使って良いから、全部女湯にして20人ぐらい同時に入れるようにしてくれる? シャワーも倍の10箇所で!)


(承知しました。再度の改変を実施します)


また20秒ほど待つと改変が完了した。

今度は廊下の正面部分が入口になっていて、脱衣所が大きくなり、シャワーも10箇所で浴槽部分は先程の2倍強になっている。


これなら20〜25人は余裕で入れるし、子供ならもっと入れるだろう。


それから僕は女湯の手前の教室を男湯に改変し、反対側の教室はソファー等を置いて、リフレッシュルームの様にした。


水道も設置して電気ポッドでも置いておけば、コーヒーや紅茶も飲めるだろう。

そして最後に高級マッサージ機も一台置いておく。


これからの共同生活において、このお風呂やマッサージで皆が一日の疲れを癒してもらえればと思う。

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