第80話 裁きの光(8/20)
僕は真理をサーチして避難所の方向へ一直線に進んでいた。
1kmの範囲内に入った時、真理の周りにもたくさんの敵対者を表す黄色い反応がある事がわかった。
やっぱり悪い予感が当たった!
もう既に武装グループが避難所に入り込んでいるみたいだ。
なぜか武装グループは始めから敵対を示す黄色い反応だった。
もしかしたら僕が武装グループそのものを敵だと認識しているからかもしれない。
僕は絨毯に乗ったまま
もう避難所側は抵抗らしい抵抗は出来ていないようだ。
武装グループ側からの一方的な虐殺に見える。
そして自衛官の格好をしたニ人が倒れてるのも見えた。
自衛隊がなぜここに?
だけど僕はここに来た目的を思い出した。
まずは真理の確保だ。
僕はサイコブレードを生成し、進路上の黄色い反応を叩き斬りながら進む。
斬られた武装グループの男は皆、自分が斬られた事を知ると驚愕の顔で死んで行く。
なんで驚くのか? 自分だけは死なないとでも思っていたんだろうか?
そして居住区まで入ると真理の悲鳴が聞こえた。
「いやー! 助けて! ひー君!」
真理に重なるようにしている武装グループの男が見える。
僕を見捨てて逃げた幼馴染とはいえ犯されそうになっているのは気に入らない!
僕は真理に覆いかぶさっている男を渾身の力で蹴り飛ばした。
(ドゴオッ!)
白蛇さんに強化してもらって素の力が上がっている上に
男は凄い勢いで飛んで、頭から壁に激突して動かなくなった。
恐らくだけど脳挫傷かなんかでもう死んでいるだろう。
ゾンビ化の防止で頭部を破壊する手間が省けたようだ。
どの道、僕は武装グループに所属する者は、全員例外なく処刑すると決めているんだ。
しばし佇んでいると僕を不思議そうに見上げる真理と目が合う。
僕は真理の上半身が裸である事に気づいて、毛布を一枚アイテムボックスから取り出して肩の辺りに無造作に掛けた。
「真理、この部屋から出るな! 僕は武装グループを全員始末して来る」
「う、うん。わかった!」
真理の返事を聞くと、僕はサイコブレードで居住区にいる武装グループの者の首を、問答無用で次々と刎ねてゆく。
「な、なんだお前っ!」
「ひいっ!」
「ぎゃああ!」
武装グループの男達は死の恐怖に悲鳴を上げながら絶命してゆく。
もちろん頭部は忘れずに全て破壊していった。
ーーーーー
「じ、銃がない!」
「俺のもだ!」
「な、なんだ! 何が起こってんだ!」
僕は武装グループの銃を見かけ次第アイテムボックスに格納していった。
アイテムボックスに格納するには、ただ見えているだけで良い。
銃口を向けずに撃つことは出来ないし、撃ったとしても
日本刀とかの刃物であればもしかしたら有効かも知れないけど、日本では銃以上に入手が困難だろうし、仮に入手出来たとしても手入れが出来ないだろう。
ともかく僕はゆっくりと近付きながら、サイコブレードで武装グループを一刀両断にしていった。
「お前達に無惨に殺された者たちの恨みを思い知れ!」
「なんだお前!」
「や、やめてくれ!」
「わかった! 降参する! 殺さないでくれ!」
「ひい! やめてくれ〜」
「ば、バケモンだ!」
僕の超能力で生成したサイコブレードが、闇夜に強烈な青白い輝きを放つ。
これは悪を断罪する裁きの光だ。
逃げる者には頭にサイコバレットを打ち込んで殺す。
僕は一切の命乞いを無視して武装グループを
でもさすがに全員は殺す事が出来ず、殺せたのは100人程だった。
連絡が後続まで届いたのか深入りしていない者は撤退してしまったようだ。
まあいい。
莉子さんのご両親の仇もあるし、サーチで見付けられるはずなので後日全員を始末しに行こう。
一旦、溜飲が下がった僕は避難所の被害を見て回った。
特に自衛官はどうなったんだろうか。
ーーーーーー
二人いる自衛官のうち一人は顔に銃弾を受けて即死していた。
もう一人はなんと女性自衛官で、肩と脚に多数の銃弾を受けて動けなくなっていた。
「あなたは自衛隊の人ですね?」
「そ、そうよ……あなたは……一体何者?」
どうやら倒れてやり過ごしながら僕が武装グループを殺すのを見ていたらしい。
「僕の事は知らなくて良いです。なぜ自衛隊は国民を救いに来ないんですか?」
「……自衛隊の拠点でも感染者騒ぎがあって……とても国民全ての救出と保護までは出来ないのよ……」
本来は自衛隊が国民を守り、その任を全うすべきだと思うけど要人保護や拠点の防衛で忙しいのかもしれない。
冷静に考えると、この状況で全国民を保護などとても出来ないのではと思う。
何百万、何千万人を養っていく物資など何処にあるだろうか。
自衛隊が国民の保護に動かないのも仕方が無い事なのかもしれない。
「そうですか……」
僕は自衛官に一言告げると避難所の被害を確認しに行った。
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