第63話 相応の罰(8/8)

「な、何だ!」

「なんか、光ってるぞ!」

「何、これ……」


僕が念力サイコキネシスを纏わせると、キャンピングカーが青白い光に包まれた。

自分で纏った時やバールに纏わせた時の事を考えると、これで強度がかなり増したはずだ。


例え銃を使ってもキャンピングカー傷つけるのは難しいだろう。

今のうちに一旦この包囲網を抜けてしまおう。


「後ろのみんな何かにつかまっているように! 光司君かまわずこのまま突っ込んで! キャンピングカーを超能力で包み込んだからダメージは無いはずだよ!」

「は、はい! わかりました!」


光司君は僕の言葉でアクセルを踏み込んでキャンピングカーを発進させた。

僕たちの前方にいた者たちは、慌てて蜘蛛の子を散らすように逃げる。


キャンピングカーはそのまま通行止めをしていた車両に当たって、車両数台を凄い勢いで吹き飛ばした。


かなり激しく衝突したと思ったけど、キャンピングカーの窓は割れておらず念力サイコキネシスで包まれた車体には凹みはおろか、傷ひとつ付いていない様子だ。


「光司君、ここで車を停めて! 明日奈さんや早苗ちゃんは子供たちが後を見ないようにさせておいて。僕は彼らが今後同じ様な事が出来ないようにしてくるよ!」


僕はみんなにそう告げるとキャンピングカーを降りて、念力サイコキネシスを自分に纏わせる。


こんな無法者達を野放しには出来ない。

相応の罰を与えないと。


唖然としている者たちの方へ走って、10mほど上空にジャンプして自分を念動力テレキネシスで空中に固定した。


思った通り自分への念動力テレキネシスも有効な様だ。

たぶんこの力で空も飛べるだろう。

だけど今は後回しだ。


「う、浮いてるぞ!」

「何だありゃあ! 化け物か!」


僕はサイコバレットを数十個生成すると、通行止めをしていた車両全てに向けて射出して大破させた。


「ああああ、熱いー!」

「誰か、助けてくれ……」


エンジンが掛かったままだった車両は爆発して燃え上がり、車に残っていた者やすぐ近くにいた者は火だるまになった。


僕はすぐに地上に降りると、サイコブレードを生成してまだ無事であるならず者たちの手足を切断していった。


「うぎゃああ! 手があ!」

「いひい! 足が無い!」


「あ、あ……」

「た、助けて……」


「駄目ですね。直接殺すことはしませんが、相応の罰として片方の手首か足首を切断します。止血も自分たちで行って下さいね。これでもう人から奪う事は出来ないでしょう」


「ひい! わ、私は女なのよ!」


「……それがどうかしましたか?」


「た、頼む! 止めてくれ! あんたたちにはもう手は出さねえから!」

「俺もだ! お願いします!」


「……今更です。今まであなた達に襲われた人達はどうなったんでしょうか?」


「……」

「……」


僕は女性も含めて宣言通りに罰を与えていく。

途中、逃げ出す者もいたけど、サイコバレットで両足を撃ち抜いて見せしめとしたら随分大人しくなった。


周囲は車が燃えて煙がもくもくと立ち上がり、ならず者たちが身体の一部を切断されて転げ回っている。


サーチで確認するとこの騒ぎで周りから続々と感染者も集まって来ている様だ。


この状況で止血しながら生還出来るかは彼らの運次第だと思う。

もし生きていけたとしても身体の部位欠損は重いハンデとなるだろう。


僕は踵を返し、キャンピングカーに戻って去って行くのだった。

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