二章 家族を探して
第32話 パンデミックから2ヶ月(7/24、サーチ範囲800m)
パンデミック発生から約2ヶ月くらいの時間が経った。
あれから僕は各地の避難所周りをしながら家族を探す旅を続けている。
白蛇さんに授けてもらったサーチ能力はさらに長距離を探れる様になっていた。
また、距離が伸びるに従ってズームインやアウトなど縮尺も変える事が出来た。
今では男女の違い大人と子供の違いなどもすぐ判別出来るぐらいになっている。
アイテムボックスも相変わらず超便利で、これがあるので特定の避難所では生活せずに外で好きな物を食べて暮らしている。
そして僕はあれから青白い光を纏う超能力に目覚めていた。
空っぽとなっていた自宅で絶望で挫けそうな時に発現した能力だ。
たぶんこれが白蛇さんが僕に与えてくれたメインの力なんだと思う。
誰に教わる訳でもなくそれが
あの時、気絶から目覚めた僕は体全体が青白く光っているのに驚いた。
最初の頃は人間発電機にでもなったの? と思ったりもした。
だけどやがて光を自分でOn/Off出来るようになり、Onの時に身体能力が爆発的に上がるという様な事が分かり、徐々に与えられた力に慣れてきたような感じだ。
今では試行錯誤して色々と驚くような事が出来るようになっている。
肝心の家族の行方だけど、昨日仕入れたばかりの情報がある。
北から旅をして来た一団から聞いた話だ。
その人達が旅の途中で、北に向かう一団の中の40代ぐらいで中学生ぐらいの女の子を連れた夫婦がいる集団と会って少し会話したらしい。
その人達の話では、夫婦は他にも高校生になったばかりの男の子とはぐれて会えないでいる、北に向かって移動しているという事だった。
お互い名前は言わなかったとのことだけど、僕の家族かも知れない。
今までは東京方面は避け、横浜周辺の避難所を闇雲に探していたけど、これを聞いて北に向かっているところだ。
それにしても最近は感染者が爆発的に増えているみたいだ。
各地の警察や役所は頑張っている様だけど、自衛隊など国の組織的な助けもなく食料調達も大変になって来ているし、内部感染による避難所の崩壊も加速してきているようだ。
だけど僕はパパを信じてる。
きっとママと玲奈を守り抜いているはずだ。
僕が必ず助けに行くからね……
ーーーーー
「美久! 早くっ!」
「お兄ちゃん! 待ってえっ!」
僕が空きビルで休憩をしていると、大声で叫ぶ子供の声が聞こえてきた。
目視で確認すると、すぐ下の道路上で倒れている小学生ぐらいの女の子と、その少し先に中学生ぐらいの男の子がいた。
サーチでも状況を確認すると、二人は後ろから近づいて来る5体ぐらいの感染者から逃げているようだ。
女の子は転んで怪我をしたのか、倒れて動けなくなっている。
「くそっ!」
男の子は妹と思われる女の子のそばに走り寄って感染者に石を投げ付けた。
コントロールは良いみたいだけど、当然ながら投石ぐらいで感染者は止まらない。
大人でも普通は感染者と一対一で戦うのはかなり危険な行為だ。
感染者は体を制御するリミッターが外れた状態であり、そのため力が強く抱きつかれでもしたら完全にアウトだ。
感染者が2体以上だと普通は勝てない。
一撃で倒せる武器や技がない限り、もう片方にすぐに襲われるからだ。
感染者の動きは普段は鈍いけど獲物を認識した時は速度が少し上がるし、倒れかかってきたりする動作は速いので舐めては掛かれない。
感染者5体を中高生が倒せるかといったら、武器を持っていても絶対に無理だろう。
さらに、大声を出しているので周りからも感染者が集まって来ている様だ。
流石にこの状況で見て見ぬ振りは出来ない。
早く家族を探しに行きたいけど、仕方なく僕は手を貸す事にした。
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