雨と虹

 放課後…

 

 いつもの月曜日。

 やっぱりなっちゃんと功太のクラスの待ちぼうけ。

 

 舜くんと二人…

 

 あー、雨だなー。と外をみていたらようやくなっちゃんと功太が現れた。

 

 さぁ、帰ろうと思った矢先…

 

 いきなりの土砂降り。

 

 たぶん通り雨だから少しおさまるまでまとっか、ということになり、四人で待つことになった。

 

 

 

 夏休み、みんなでどっか行きたいねとか夏の風物詩なんかの話で盛り上がった。

 

 するとあっという間に時は過ぎ、さっきまでの土砂降りはすっかりやんでいた。

 

「あ、雨やんだね」

 とわたしが空を見上げると、なっちゃんが

「ねぇ、虹‼︎」

 と指差したのでみんなで空を見上げて虹をみた。

 

 すると、舜くんが

「やっぱり、好きな人と虹がみられるのって最高だよねぇ」

 と言った。

 

 三人が同時に舜くんをみた。

 そして…

 

「「「えっ?」」」

 

 と。

 

 そしたら舜くんは、

「ん?」

 といい、なんですか?みたいな顔をした。

 

 えと…

 舜くんは、どういうつもりでさっきの発言をしたのだろうか。

 

 多分なっちゃんも功太もそう思ったに違いない。

 

 

 …舜くん、その言い方だとさ、今まさに好きな人が隣にいるかのような感じになりません⁉︎と。

 

 まぁ、舜くんは…そういう意味で言ったんじゃないんだろうけどね。

 

 

「うん。そうだね…。好きな人と素敵なものや美味しいもの共存したくなるもんね。」

 となぜかわたしは、慌ててフォローした。

 

 もう、舜くん…

 なっちゃんにまた勘違いされるじゃんかっ‼︎

 

 そんなことはなんにも知らない舜くんは、いつも自由発言するからいつもハラハラドキドキさせられる。

 

 でも、やっぱり虹ってキレイだよね。

 

 グラデーションアートが好きなわたしは、じっと虹を眺めた。

 

 毎日空に虹がかかってたらいいのにな。

 

「虹って不思議だよねー…」

 とわたしは、虹を眺めながら無意識に独り言をしていた。

 

 すると、功太が

「うん。神秘的だわー」

 と返してくれた。

 

 そしてなっちゃんが、

「キレーだよねー」

 とうっとりすると…また舜くんは、

「うん。キレイ」

 となぜかわたしをみながらいうじゃない…

 

 …もう、なに⁉︎

 と思い舜くんの表情を伺った。

 

 すると、功太が

「さてと、帰るか‼︎」

 と歩き出したので、慌ててそれに合わせて歩き出した。

 

 …なっちゃん?

 

 一人まだ虹をみつめるなっちゃん。

 

「…なっちゃん?」

 

 わたしの言葉になっちゃんは、今にも虹に吸い込まれそうだったけど、魔法が解けたかのようにこちらをみて、パタパタとみんなに駆け寄って

「ごめん、ごめん」

 とみんなの歩幅に合わせて歩き出した。

 

 舜くん…もう変な発言やめてくださいと心から思った。

 

 続く。

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