ジュース
もー、舜くんの発言でまたなっちゃん落ち込んじゃうよ。
なっちゃん…また泣いて寝込んじゃうんじゃないかな。
あー…どうしよう。
なっちゃんに、なんて言葉をかけていいのか分からず今日も功太の部屋に入り浸り中。
「なー、かづき」
「ん」
「舜のことどう思う?」
へっ⁉︎
なっちゃんにも前に同じ質問されたな…。
思わず持っていた本を落としてしまった。
「えと、…」
本を拾いながらもどうおもってるか返事しようとしたら功太は、本をわたしの代わりに拾ってくれた。
そしてわたしに本を渡しながら、
「好きなの?」
と真っ直ぐな瞳でわたしを覗き込む。
えと…えっとー…
わたしが好きなは、功太だよ。なんて言えるわけがないし…
「なんで功太は、そんなこと聞くの?」
と言うと功太は…
「なつも…なつもさ、だって…」
と言いかけて、もう一度わたしの目を一度見てパッと逸らしたかと思うと、
「やっぱ、さっきの質問忘れて」
と言った。
「え…うん。」
返事をしたとき、わたしはもう上の空だった。
やっぱり功太は、なっちゃんが心配で心配でたまらないのだと…胸がチクリとした。
「功太…」
「なに?」
わたしは、自分の飲みかけのジュースを功太に渡した。
「飲みなよ」
って。
そしたら功太は、
「はっ⁉︎なんだよ…それかづきの飲みかけじゃんかよっ…。」
といい受け取らなかった。
…うん。
やっぱりそういうことだよね。
わたしは、受け入れられないってことか。
…
「帰る」
わたしの言葉に引き留めもせず功太は、
「おぅ」
と返事をするだけだった。
パタンとしまる功太の部屋のドア。
功太…。
しばらくドアの前で立ちすくんでいたら、功太の弟の
「かづー、ゲームしよーぜ」
と無邪気に誘ってくれたので利太の部屋でゲームをしていた。
功太の弟は、小学二年生。
なんでわたしをすぐにかづきだとわかったのかというと、なっちゃんはあんまり功太の部屋にこないし、なっちゃんは基本功太の部屋にくるときは、わたしが一緒にいるから。
だから、単独でいる場合はかづきだって認識しているみたい。
しばらく利太とゲームしていたらコンコンとドアがノックされた。
「はーい」
と元気よく利太が返事をすると、ドアの向こうから功太が、
「お友達来てるの?ジュース持ってきたよ」
と声をかけてきた。
なので、わたしはふざけて
「あ、じゃあ今ドアあけますね」
とわざとかわいい幼い声をだしてドアをあけた。
すると、あいたドアにいたわたしをみるなり、
「はぅ…かづきかよっ⁉︎」
とびっくりする功太。
わたしと利太は、ドッキリ成功ーと笑った。
功太は、
「おまえ帰ったんじゃねーのかよ」
って言いながらもジュースを渡してきたんだけど、利太は
「ボク、かづのもらったからお兄ちゃん飲んでいいよ」
と言った。
利太のジュースに一度功太は視線を落として、
「利太は、無邪気でいいよなー」
と利太の飲みかけのジュースを見ながら新しいジュースをゴクゴクと飲んだ。
続く。
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