グレイシャス・メイド

ネコ山

メイドと銃はセットなのです!

<登場人物>


・レイラ

屋敷に仕えるボディーガード兼メイド

基本真面目で物凄く照れ屋。少しドジっ子で頑固。

基本は二丁拳銃、マシンガンで戦う。

役の性別変更不可。 


・ショウ

レイラの主。

レイラのことが好きでからかいがち。

元モデルの化粧品会社の代表取締役。

裏の顔があり、銃の扱いが上手い。

役の性別変更不可。


上演時間目安は15分前後です。


登場人物や話が変わるようなアドリブ、改変不可。


---------お話はここから---------



-屋敷の玄関


レイラ:ご主人様、襟元が乱れておりますよ?

いま、なおしますね


ショウ:ありがとう、レイラ

あれ?


レイラ:いかがなさいました?ご主人様


ショウ:レイラ、アイシャドウの色変えた?


レイラ:はい、ご主人様に頂いたアイシャドウを使いましたが…


ショウ:その色…去年あげたものだよね


レイラ:はい、昨日手持ちのアイシャドウを使い切ったので

新しいアイシャドウを開けましたが…

えーと…何かまずいことなど、ありますか?

(M)ご主人様、アイシャドウの色覚えてたんだ…びっくり!


ショウ:半年以上開けてくれなかったんだ、僕からの誕生日プレゼント


レイラ:…っ!!

あわわわわわ、申し訳ございません!

ご主人様から頂いたものだったので!

すぐ使うのが勿体なくて寝かせておりました!!


ショウ:アイシャドウを寝かせる?

ヴィンテージのアイシャドウなんてないんだから寝かせる必要ないよね?


レイラ:あ、あの〜…ですね、ご主人様


ショウ:ん?


-頬を赤らめるレイラ


レイラ:わ、私は!アイシャドウを寝かせて熟成させていた訳では決してないのです…!!


ショウ:アイシャドウの熟成なんて言葉初めて聞いたよ(笑)

そんなに顔を赤くさせて、どんな言い訳をする気?


レイラ:言い訳ではないのです!ただ…


ショウ:ただ?


レイラ:ううぅ…(小声で)ご主人様から頂いたものだから………


ショウ:何?レイラ


レイラ:(小声で)……とても大切なものだから、眺めているだけで満足していたというか……


ショウ:(聞こえないふりをして)ボソボソ何言ってるかわからないよ?


レイラ:(照れながら)ああああああのぉですね、それは…そのぉ……


-運転手が呼び鈴を鳴らす


レイラ:あら、(背筋を伸ばして)ご主人様、そろそろ出発のお時間です


ショウ:今日はレイラも一緒に来てくれるんだよね?

 

レイラ:はい、本日は私がご主人様のガードにつきます


ショウ:よろしくね、レイラ


レイラ:はい、ご主人様


レイラ:(N)ご主人様は元・モデル、現・化粧品会社代表取締役という

はちゃめちゃ……いえ、大分華やかな経歴をお持ちです。

「ショウ」という本名でモデル業をされていた際は、

世界各地で開催されるラグジュアリーブランドのショーへ引っ張りだこ。

昨年はほとんど屋敷へ帰ることなく色んな国を転々とされておりました。

現在はご主人様のお父上が別事業を立ち上げたため、

ご主人様がお父上様の化粧品会社を引き継ぎました。

私はモデルをされていた以前のご主人様よりも

今のご主人様の方が活き活きとされていて……

メイドの身でありながら今のご主人様のほうが良いなあと思っております。

私に対しては少し…意地悪ですけど。



-移動中の車内



ショウ:レイラ、今日の予定が終わったら食事へ行こう

なにか食べたいものある?


レイラ:そ、そんな!ご主人様とお食事なんて…!!


ショウ:僕と二人きりは嫌かな?


レイラ:いいえ!滅相もございません!!


ショウ:じゃあ、決まりだね

レイラがボディーガードについてくれるから安心して外食出来る


レイラ:私には勿体ないお言葉です…


ショウ:謙遜し過ぎるのはレイラの良くないところかな


レイラ:…え?


ショウ:謙遜するってことは

褒めてくれた人の意見に反対してるってこと、理解してる?


レイラ:………っ!!

たたた、大変申し訳ございません!!

…わ、私はメイド失格です……


ショウ:(笑いながら)ごめん、からかいすぎた


レイラ:ご主人様ぁ〜


ショウ:涙目になってる、ちょっと動かないで…


-ショウ、レイラの涙を拭う


レイラ:(顔を真っ赤にして)…っはあああ!!!ご主人様?!!!


ショウ:今日はレイラが好きないちごパフェのあるお店にしよう


レイラ:いちごパフェ…!!


ショウ:(小声で)花より団子かな?


レイラ:?何か仰いました?ご主人様


ショウ:とくに何も?


-急ブレーキがかかる


レイラ:っ!!ご主人様!ご無事ですか!


ショウ:いたた…大丈夫?レイラ


レイラ:私のことはどうでも良いのです!

ご主人様、おケガはありませんか?


ショウ:僕は何ともないよ、それより…


レイラ:はい…どうやら不逞の輩に囲まれているようです


ショウ:この車の前後左右にいた護衛車両ごと囲まれたみたいだね


レイラ:他の護衛車にもSPが乗っているのですが…これは…


-銃弾が運転手の肩を撃ち抜く


レイラ:ご主人様!伏せてください!!このヘルメットをどうぞ!

あと、こちらの耳栓をつけてください!


ショウ:レイラはどうするの?


レイラ:(銃を構えて)私はご主人様を命懸けでお守り致します!!

まずは車が潰される前にここから脱出しましょう!


-車が四方向から護衛車と共に潰れていく

-レイラがマシンガンで車の天井を丸く撃ち抜き天井を蹴り上げて穴を開ける


レイラ:ご主人様、さあ、こちらへ!


-ショウがレイラの手を取る


ショウ:ねえ、レイラ…


レイラ:ご主人様、ヘルメットのベルトが緩いです!なおしますね


ショウ:このヘルメット外しちゃダメ?


レイラ:絶対にいけません!!「安全第一」と記載されているこのヘルメットが一番機能が優れておりますので!!


ショウ:それにこれ、色も黄色で目立つよ?


レイラ:そこが良いのです!

敵の的にされようがされまいが私が全力でご主人様をお守り致しますので一切問題ありません!!


-ショウへ向けて銃声が数発撃たれる

が、全てレイラがシルバートレーで防ぐ


ショウ:…!!!


レイラ:ふぅ…ご無事ですか?ご主人様


ショウ:ねえ!僕の場所バレバレだよ?!

それになんでシルバートレー持ってきてるの?!!


レイラ:私、ボディーガードの前にメイドですので

シルバートレーはメイドの装備品のひとつなのです!

不逞の輩、そこですね!(銃を数弾放つ)


ショウ:ちょっとレイラ、僕を餌に狙撃手倒したね


レイラ:はい、それが何か?


ショウ:主人をエサにするとは…

こんなことするのは君くらいだよ(笑)


レイラ:私は私よりも強い方の元でのみ、仕えるというマイルールを貫いております…ご主人様はお強いので何も問題は無いかと


ショウ:そうだったね


レイラ:私が不逞の輩を一掃して参ります

少々お待ちくださいませ


-レイラが一礼して二丁拳銃で周りの雑兵を戦闘不能にしていく


ショウ:護衛車のみんな、意識は無いけど息はある!良かった!!

(携帯電話で話す)屋敷から南西におよそ7キロ地点の国道沿いで何者かに襲撃されて怪我人が出てる

護衛車4台は全滅、運転手も重症だ

至急、救急搬送の準備をお願い!!


-手榴弾が爆発する


レイラ:ご主人様!手榴弾にお気をつけください!!


ショウ:…ゲホ、ゲホ……レイラ!ワンテンポ遅いよ!!


レイラ:…!!た、大変失礼致しました!!


ショウ:レイラ、後ろ!!(銃声)


レイラ:きゃっ!!


-レイラの後ろにいた狙撃手が倒れる


レイラ:ご主人様…


ショウ:レイラ、ケガは無い?


レイラ:は…はい

先ほどご主人様が撃った相手で最後でしたね…


ショウ:全く、せっかくレイラと一緒に食事へ行く予定だったのに…

別日に仕切り直しだな


レイラ:…?????


-およそ5分後、救急搬送車両が現場に到着する

-救急車のサイドミラーに写る自分の顔を見て驚くレイラ


レイラ:……!!!


ショウ:…ん?どうしたの?


レイラ:ご主人様ぁ、見ないでくださいっ!


ショウ:え?なんで??


レイラ:何でも…ですっ!!


ショウ:と言われると見たくなるな


レイラ:いけません!ご主人様ぁ!


ショウ:こっち向いて!


レイラ:うぅ…


-ショウの方へ振り返るレイラ


ショウ:顔が煤だらけだよ


レイラ:…だから嫌だったのです…

せっかくご主人様から頂いたアイシャドウを使った初日に顔が汚れてしまって…

色が分からなくなってしまいました…うぅぅぅ…(凹む)


ショウ:レイラ、目を閉じて


レイラ:え?…あ、はい……


-ショウ、レイラの額にキスをする


レイラ:えええ?!ご主人様?!はわわわわわわわわ(顔を真っ赤にして照れる)

いきなり、なななんなんですかあああああああ!!!

あ!!痛っ!!!!


ショウ:足首腫れてるのバレないと思った?


レイラ:…うぅぅぅ


ショウ:それと、さっき「私のことはどうでも良いのです」って僕に言ったよね?


レイラ:はい、私はご主人様の身辺を整え警護をする身ですので

ご主人様が無事であれば良いのです!


ショウ:自分の身を守れない人に他の人は守れないよ


レイラ:…ご主人様


ショウ:そのケガが治ったら特訓だね


レイラ:え?

…私がご主人様より弱いから戦闘技術を叩き込む、ということですか?


ショウ:そうじゃないよ


レイラ:そうじゃない、とは??


ショウ:レイラは仕事熱心だし、真面目で素直だけど

ドジで本っ当に!!鈍感だよね


レイラ:鈍感ってそんなに力強く言わなくてもいいじゃないですか〜

っと言っている間に何故!?

ご主人様にお姫様抱っこされてるんですか?!私!!


ショウ:ケガ人だから


レイラ:…ですが、ご主人様のお手を煩わせるなんて……


ショウ:僕がこうしたいからしてるだけ

動かないでね、レイラ


レイラ:いいえ!!いけませんっ!!

ご主人様!私はあなたに仕えるメイド兼ボディーガードです!!おろしてくださいーーー!!


ショウ:ちょ、ちょっと!さっき動かないでって言ったでしょ!大人しく救急車に乗ってね、レイラ


レイラ:だーめーでーすー!!!離してくださいー!!


ショウ:動くなって言ってるのに!

レイラって頑固だよね


レイラ:頑固でも閑古鳥でも何でもいいですー!!おろしてくださいー!!


-少しの間いがみ合う二人


ショウ:おろさないよ

黙って僕にお姫様抱っこで救急車まで運ばれてね、レイラ


レイラ:(小声で)うぅぅぅ…恥ずかしいし非常に申し訳ないです


ショウ:(聞いてないふり)何か言った?


レイラ:いいえ、なんでもないです!


ショウ:僕の大事なメイドにケガをさせるなんて…喧嘩の売り方が下手過ぎるな


レイラ:……ご主人様??


-無意識な上目遣いでショウの顔を覗き込むレイラ


ショウ:(無言でかわいいの意)…!!

(咳払い)足のケガが治ったらメイド兼ボディーガードじゃなくてボディーガードになってもらうよ


レイラ:え?


ショウ:メイドの仕事は他の人に任せるから僕のボディーガードに専念してくれる?


レイラ:………


-少しの間、沈黙


レイラ:それは…お断りします


ショウ:なんで?

僕の身の回りの世話をしなくて良くなるからって給料を下げたりしないよ

むしろ特別手当をつけるし


レイラ:…?!そういうことではないのです!!


ショウ:じゃあどういうこと?


レイラ:私は…私は常にご主人様のお傍にいたいので今後もメイド兼ボディーガードを希望します!!


ショウ:それって…


レイラ:はっ!!私、メイドの身でありながらなんと横柄で大それた希望を言っているのでしょうか……!!

ご主人様!大変失礼致しました!!

このお詫びはエンコ詰めで何卒…何卒っ…!!


ショウ:ちょっと!何物騒なこと言ってるの!!エンコ詰めなんかしなくて良いから!!


-二人とも呼吸を整える


ショウ:これからも僕の傍でメイド兼ボディーガードとして働いてくれる?


レイラ:(満面の笑みで)はいーっ!!喜んでーー!!


ショウ:嬉しいけど!!なんで返事が居酒屋店員風なの?!!




ショウ:(N)今回、僕とレイラを襲ってきたのは国境近くに縄張りを持つマフィアの要人殺し専門部隊だった。

…僕を敵にしたらどうなるか、裏社会のヤツらにしっかりと知らしめないといけなくなったらしい。

本当はもう銃なんて握りたくないんだけど…仕方ない。




レイラ:ご主人様?顔色が優れませんが、何か変なものを口にされましたか?


ショウ:僕もいい大人だよ?

変なものは口に入れないからね!


レイラ:ご主人様からの普通の返しがきました…!

 

ショウ:(微笑む)…大丈夫、何も問題ないよ


レイラ:…なら良かったです!


ショウ:レイラの足が治ったら今度こそ、一緒に外食へいくからね

忘れないように、約束だよ


レイラ:はい!ご主人様!!


-一話・完-

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