悪役令嬢の婚約破棄に巻き込まれたモブ「連載版」

バカヤロウ

第1話 バケツを持って廊下に立つ男

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遠い遠い昔


世界は一度、滅びてしまいしました。


創造主は考えました。


どのような世界が必要か?


ふと思い出されるのは神々の対話でした。


創造主は色々なものを足すことによって生命を誕生させます。


この世界はアルパイン_アーチと名付けられました。


沢山の種族が生まれました。


その中で最強はドラゴン、そして最弱は人間でした。


人間はドラゴンと戦うために神像を作り出します。


神像でドラゴンを倒しますがドラゴンも負けじと対抗してきます。


神像が生まれては消え生まれては消えの繰り返し。


終わりのないループにみんな疲れていました。


ただ、どこから来たのか分かりませんが創造主に気に入られる女性が現れます


女性は争いごとの絶えない悲しい場所に涙します。


女性は自分に何か出来ないかと歌を歌います。


歌はドラゴンを眠らせることが出来ました。


歌で争いごとを鎮めることが出来ました。


これが歌魔法の始まりとされています。


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キーンコーンカーンコーン


先生が教科書を読み上げたところで授業の終了を知らせる鐘が鳴る。


「はい、今日の授業はここまでだ」


先生が教科書を閉じ、静かに授業の終わりを告げた。

しかし、授業が終わったにも関わらず、好奇心旺盛な小さな子供が手を挙げて先生に質問する。


「せんせー、歌魔法って聖女様が始まりなの?」

「そうだ、今でも聖女様は歌魔法でみんなを守っているんだ」


強面でガタイの良い男性だが小さな生徒達には笑みを浮かべて優しく答えた。

だが、その笑顔が少々不気味であるが幼い子供たちは特に意識せず、先生のいう事を素直に聞きいれる。


「「「そうなんだー」」」


初等部の学生たちが無邪気にかつ元気よく納得する。

好奇心旺盛な初等部の学生は更に質問をする。


「しんぞう?ってなんですか」

「ああ、神像だね。これは諸説あるが今のマギネスギヤがそれに当たると言われているよ」


「「「へぇー」」」


授業は終わったので区切りを付けたい先生。

柏手を打って少々興奮気味の生徒たちを落ち着かせる。


「はいはい、それまでだ。今日の授業はこれで終わりだ、それに明日からは夏季休暇だ。だからってあまり遅くまで残るんじゃないぞ」


男性は顔に似合わず優しい言葉をかけて、生徒たちに帰りの挨拶を促した。


「「「はーーーい」」」


可愛い声で返事する少年少女達

その声を聴くだけで強面の男性教師の顔が緩んでいるのが廊下からも見て分かる


「せんせーさようなら」


元気いっぱいの男の子が一番に廊下へ飛び出した。


俺は廊下にいたためにその男の子と目が合ってしまう。

ここは年上として怖がらせないように笑顔を送ろう。

最高のスマイルを男の子に送った。


「あーこの人、また廊下に立たされてる」

「本当だ、このお兄ちゃん、また廊下に立ってる」

「面白ーい」


なぜか少年少女が俺の周りに集まってくる。

バカやめろ、つつくな!

今、両手が塞がっているし筋肉が……震えているんだ!


「バケツおもそー」

「水いっぱい入ってるね」

「お兄ちゃん、楽しい?」


俺はすでに成人した大人の男性だ

マッチョでもなければ高身長イケメンでもないごくごく普通の15歳の男だ。


そんな、俺は不敵な笑みが自然と出てきてしまう。


無性にこの少年少女達をぶん殴りたい気持ちで満ち溢れている証拠だ


殴ってみようか、よし殴ろう


「はぁ」


と思っても自制心が働いてしまい俺が出来る事といえばため息をつくことぐらいだ。


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