地域住民に愛されるローカル喫茶チェーン
「さ、ご飯も食べたし、何処で勉強する?」
高校生が談笑するような場所といえば、ファミレスやファストフード店、喫茶店のイメージ。喫茶店といえば、スムージーのような甘いドリンクで有名な人魚の店が圧倒的に人気。もちろんその店も良いのだが、俺達が普段利用する喫茶店は違う。
「いつも通り、真下の喫茶店で良いよな?」
「ああ、もちろん」
「え、何処そこ?」
そう俺と
今いるラーメン街の真下の階に降り、お土産コーナーが多く立ち並ぶそのエリアの端に、その店はある。
「あ、ここね。いつも素通りしてて気づかなかった」
「ここ、結構美味しいぞ」
コロンビア産のこだわりのコーヒー豆を一から
県内を中心に店を構える喫茶チェーンで、東京にも出店している。
正直高校生には
奥の店内の様子を
当然ながら、制服を着た学生客なんてぱっと見何処にもいない。
「ちょっと店内の奥見てくる」
そう言い、玲緒奈がテーブル席に空きがないかどうか確かめに行ってくれたが、あっという間に戻ってくる。
「だめだ。奥もテーブル席空いてない」
「え、まじっすか」
そこまで満席になることは、今まであまりなかったので、少し驚いた。
駅構内はサザコーヒー以外にも多くの喫茶店が出店しており、うまい具合に分散できていたので、今まで満席になることはなかった。
思えば最近、テレビで特集されていたような。メディア効果なのだろうか。
「どうする、他行くか?」
そう玲緒奈が俺達に聞くと、
「あ、向こうのテーブルの人たち、立ち上がろうとしているよ」
香奈美が、一組の客が去ろうとする様子に気付いたのか店の奥側を指さした。
「お、ちょうどいいタイミングだな」
「いや、違う違う。あたしらがイートインしようとしているのを察してくれたんだよ」
そう言って、俺達は店からはけてくれた優しい人たちにお礼を言い、店内に荷物を置くことにした。
注文を終え、俺達はテーブル席へ腰かける。
俺達は試験勉強のために、まず自分の勉強したい思い思いの教科書を取り出し、学習に取り組む。
俺は無論、苦手な古典から最初にとりかかっていたが、既に行き詰っていた。
にしても何故、古語なんて学ぶ必要があるのだろうか。
英語ならまだ分かる。
世界の公用語は各国で違うのだから、その分だけ何百通りの言葉がある。
その中で多くの国で話されている言語なのだから、身につけたら確かに自分にとって得になる。
だが古語というのは、学んで何の意味があるのかが全く見出せない。
日本史関係の仕事や学者にならない限り、役に立つ機会なんてない。
その上何故大昔と今で意味が違う単語があるのか。どうもそこが理解できない。
今でも使っている言葉が、大昔では全く別の意味で使われていたとか、そんな面倒くさいことを覚える気力が
俺も玲緒奈も、
金色の容器に注がれたコーヒーは、他のメニューとは一線を越えた純度がある。
温度もちょうど良い具合に調整されていて、熱すぎずぬるすぎず、
一口飲むことで、
やっぱホットコーヒーは落ち着くな。
そう俺が一呼吸おいていると、
「なんか
と、玲緒奈が俺の様子を察してきた。
そんな玲緒奈に俺は思わず、
「そうなんだよ。俺古典苦手でさ、教えてくれ。一人じゃ無理だ、頼む」
と、せがんだ。
「あたしからもお願いー。レオ兄、教えてー」
香奈美も俺に
「全く、仕方ないね。君たちは」
玲緒奈は、やれやれと肩を
「で、何処? わかんないところは」
「「全部」」
「はぁ?」俺と香奈美が口を
「まず、教科書を見せてくれ。範囲の中から、まずは頻出の古語を教えるよ。単語カードは持ってるよな」
「イエス」
「イエッサー」
「じゃあ俺のスピードについてこい。日も無いし、びゅんびゅん飛ばすから、遅れたらそれで終わりだからな」
こうして、玲緒奈による短時間講義が始まった。
ロッキン・オン・ガールズライフ たっくす憂斗 @mori_one_mon
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