7,意思疎通不可能 お題:拒食症とカニバリズム

「なーなーアニキ、カニバリズムってなんだ?」

 昼休み、疾迅界雷(しじんかいらい)は兄の小夜嵐に尋ねる。〈神竜帝国軍〉の昼休み、食堂は日中の訓練で腹を空かせた竜人達で溢れかえっている。

「……なんだよ急に」

「いやこの前氷霧に『お前がカニバリズムに手出しても俺は止めないからな』って言われてさー。オレそんなにヤベェヤツなの?」

「それ以前に何つー会話してんだよお前ら。怖えよ、人としてどうなんだよ」

 三つ年下の後輩と弟がそんな恐ろしい会話をしているというだけで先が思いやられるが、とりあえず話の続きを聞かないことにはどうしようもない。

「というか、カニバリズムが何なのか知らないんだろお前」

「うん」

「カニバリズムはな、人間が人間を食うことだ。オレらの間で通用するかは不明だが……」

「つまり拒食症の人間はカニバリズムになるってことか?」

「待てどうしてそうなる」

「まー良いや。この話つまんねぇから終わりな」

 良くない。全くもって良くない。この弟はたまに支離滅裂で話が通用しないと言われる事があるが、確かにその通りだ。

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