第4話

今日は休み。先週はとても疲れた。山に登って、所有者の境界の調査をしたり、崩れた斜面を補強するために丸太を使って構造物を作ったりした。季節はもうすぐ6月。気温が30度近くになる中での野外作業は体力を消耗する。それに、私が働く現場は、急峻な斜面となっているので、両手を使って、ボルダリングをするように、斜面を登っていかないといけない。身体を使って、山と格闘をしているような気持ちになる。漠然とした焦りの気持ちがある。どこに行きたいのか?どうありたいのか?そんな問いを自分自身に投げかけてみる。


家には先月、燕がやってきた。おそらくフィリピンあたりから、海を超えて、私の暮らす街までやってきたのだろう。よくあんな小さい身体で、海を超えることができるのだなあと感心する。窓の外からは、鳥たちの声が聞こえる。畑で農作業をするお婆さんたちの話し声も聞こえる。窓の外からは山が見える。緑の多い世界。古びた土壁の倉には、ツタが巻きついている。私が暮らす部屋の模様替えをしようかと思う。まずはカーテンの色を変えよう。今は薄い水色のカーテンを使ってる。次はベージュ色にしようかな。それから、壁の色を緑にしようかと思う。シックな緑色がいい。色が変わると気持ちも変わる。些細なことかもしれないけど、そんな些細なことの積み重ねが生活を作っていくんだと思う。


職場の人間関係もとても疲れるんだ。誰かが誰かの批判を常にしている。あいつはダメだ。もっとああしろこうしろ。批判だけでは何も生まれない。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る