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@yuzu_dora

第1話

カフェ


三十代くらいの小綺麗な女と二十代くらいのスーツを着た若い女。

先輩と新人、と言った様子。


先輩

「私達の仕事は、お客様にいかに気持ち良くお金を払って貰えるか。それが命です。」

新人

「……はい。」

先輩

「ちょっとやり過ぎてしまいましたね。」

新人

「すみません。」

先輩

「まぁ、失敗は付き物です。しかしながら、ここでは命取りです。」


新人、項垂れる。

普通の顔から優しそうで自然な笑みになる先輩。


先輩

「顔の力、イコール胡散臭さだと思ってください。」


新人、笑顔を作ってみる。

しかし、ぎこちない。

そして、かなり胡散臭い。


新人

「ど、どうすれば……。」

先輩

「顔の体操をして固い所を把握すると良いですよ。」


先輩、色んな変顔をする。

新人、真似してみるが変にならない。


新人

「……流石です。」

先輩

「そろそろ行きましょうか。」


二人、店を出て行く。

斜向かい奥の席で見ていた五十代くらいの女、微笑ましく見送る。


女 

「保険のセールスかしらね。」


ゆっくりお茶を飲む。

その指には大きなサファイアの指輪。

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