第1話 アン①
私の名前はアン。今日はパパのお手伝いで飼っている牛のお世話をしてる。結構大変だけどパパはもっと大変そう。力がいる仕事は全部パパがやってくれるし、お手伝いしてるのに全部パパが補助しちゃうからお手伝いしてる気にならないけどパパは嬉しそうに助かると言うのでこんなでも役に立ってるのかもしれない。
「そろそろ休憩にしようか」
汗だくになったパパが言う。
「はーい」
私は道具を置いて椅子代わりの干し草に腰掛ける。魔法でコップ水を出し、パパに渡す。
「ありがとう。疲れたかい?」
「ううん、まだ余裕だよ!」
「そうか、疲れたらいつでも言うんだぞ」
「うん!」
そんな他愛のない会話をしていると遠くで牛が鳴いた。珍しいことでもないのだけどパパが見に行くと言うのでついて行くことにした。すると綺麗な白い髪をした女の子が牛に跳ね飛ばされるところだった。パパが牛を宥めている。私は女の子に駆け寄った。
「だいじょ…!?」
女の子の首はあらぬ方向に曲がってしまっていた。
「可哀想に…この辺の子じゃないね。こんなところに1人でいるのも不自然だ。あたりに保護者らしき影もないし埋めてあげようか…アン、この子を助けてあげられなかったのは仕方ないことだ。アンも慣れているからと牛に不用意に近づいてはいけないよ。」
「…うん」
「良い子だ。さあ、アンは先に家に戻っておきなさい。私はこの子を埋めてくるから」
少しショックな光景だった。今日の夢にでも出てきそうなほど…あの子はどこの子だったんだろう、あの子のパパやママは女の子が帰ってこなくて今頃探してるかもしれない。可哀想だな。
あれからパパは帰ってきていつもより明るく振舞ってくれた。
私はなかなか寝れなかった。
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