第39話 アリス

ーー幾ばくかの時が流れた。


エンダールはアイリスによって、日々開拓されている。農園では日本産の野菜が並び、ゴーレムによって収穫が毎日のように行われていた。田園では〈聖なる湖〉から水を引き込み、季節にかかわらず稲穂が生い茂り、こちらでも毎日収穫が行われエンダール産の米が食卓に並ぶようになった。


果樹園も広がり、酒用と食べる用でわけて植えている。品種改良など試したいのだが、知識だけではやっぱり難しい。これは追々考えていくつもりである。


森のダンジョンに自生していた薬草や果樹、黒鋼樹などをエンダールの山に植え直して栽培出来ないか研究もしている。ダンジョンで直ぐに入手出来るんだけど、自前で入手出来たら良いよね。


そうそう、ダンジョンの魔物は『テイム』は出来ないらしい。何だけど・・・


〈エンプレスブル〉強力な牛の魔物で6階層のダンジョンで『テイム』してしまった。ダンジョンで遭遇して、何故か俺を見た瞬間にすり寄ってきた。危機感知も働かないので、撫でたらいつの間にか『テイム』していた。


後でわかった事だけど、ユニークスキル『無限竜の大胃袋ウロボロス』がダンジョンとの繋がりを喰らったそうだ。何でもダンジョンの呪いだったらしい。


同じく〈黄金鶏〉が新しい家族となった。〈エンプレスブル〉は眷属召喚で雌の〈ビックブル〉を呼び出し、どうやら乳をわけてくれるらしい。〈黄金鶏〉は卵を産み、羽化した〈金鶏〉が毎日卵を産んでくれるようになった。


ミルクもだけど、卵もめっちゃ美味い!


ダンジョン7階層の魔物は怪物だらけだった。牛の魔物<ミノタウロス>、胴体は人で下半身は蜘蛛で知性が高い<アルケー>、馬鹿でかい蜘蛛の<キングタラテクト>と<クイーンタラテクト>、身体が黒い巨大な鬼<ブラックオーガ>、怒ると身体から炎を巻き上げる巨大な獅子<炎獅子>、空の王者と呼ばれる<ワイバーン>、その上位種の<レッドワイバーン>などが犇めく階層だった。


一体一体が強力な魔物で準備を整えて慎重に攻略していった。どの魔物も巨体ゆえか、体力が馬鹿高く、倒すのに凄く時間がかかった。丸3日戦い続けた魔物もいるくらいだ。その分、入手出来るドロップ品は凄かったけどね。上位種の素材は『錬金術』のレベル上げに多いに役に立っている。ついつい楽しくて、寝る間を惜しんで錬金しまくっていたら職業もスキルも上限に達していたよ。


スキル『魔道具作成』が『魔導具作成』スキルに進化して、今までに作れなかった魔導具が造れるようになった。まぁ、それはスキルが進化しただけではなく、新たな仲間の存在が大きかったりする。


新たな仲間は〈魔石交換システム〉で<魔導具師>と交換して召喚した。黒い尖がり帽子に、黒いローブを纏い、誰が見ても魔女といった格好をしていた。赤い髪を片まで伸ばし、瞳は髪と同じで綺麗な赤い瞳をしていた。


<アリス>俺がその子に名付けた名前だ。アリスもダンジョン探索に参加している。アイリス、バラゴス、デザイア、ウルが交代で一緒にダンジョンへ行き訓練している。アリスは魔法を専門に扱い、魔法の知識が豊富である。なので魔法と魔導具の研究が大きく進んだ。今ではエンダールで魔導具作成を任せているほどだ。


俺は錬金術の可能性を求め日々研鑽し、『魔導具作成』は趣味で作る程度にしている。ユニークスキル『叡智グローリア』を活用して、バラゴスが鍛えた武器や防具に<魔法回路>を構築したり、デザイアと協力して魔物素材の研究を進めた。ウルには、トレントの樹で家具造りや杖、弓、矢と作成を頼んでいる。アリスにはみんなで話し合って必要な<魔導具>の開発をお願いしている。


アイリスは6階層の魔物の<魔石>を使って、更にエンダールを開拓している。既に<村>の範疇を越えていると思う。村外れには工場が建ち並び、その工場では、食料加工品をゴーレムを使って生産する仕組みが整えられていた。


そうだ! アリスのステータスはこんな感じだったよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アリス

レベル 28

種 族 『大魔女種』

職 業 『魔導姫Lv.3』

称 号 『極魔の魔導具師』『魔導の極み』


体 力 31800/31800

魔 力 79500/79500

攻撃力 『D』

耐 久 『D』

俊 敏 『D』

器 用 『B』

知 力 『A』

 運  『A』


種族特性

『魔導の真髄』


ユニークスキル

心滅の魔導書グリモワール』➡


エクストラスキル

『極魔の魔導具師』


スキル

『全属性魔法Lv.3』『魔力操作Lv.4』『魔力循環Lv.3』『身体強化Lv.3』『棒術Lv.1』『融合魔法Lv.2』『魔導眼Lv.1』


装備 

武器 ー杖ー 『魔杖-イクリプス』

防具 ー服ー 『魔女のローブ』『魔女の帽子』『魔女の靴』

アクセサリー 『魔導の指輪』                     

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アリスは初め<魔女種>だったが、ダンジョンで上位の魔物と戦かった事により、早々に<大魔女種>へと進化を遂げていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

種族 『大魔女種』

種族特性 《魔導の真髄》魔導に大幅な補正がかかる。

※魔法を極めた魔女が<魔導>へと至り進化した種族。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔法の上位互換の《魔導》を得意とする種族。ダンジョンで魔法を使う姿は何度か見たけど、魔法の威力が半端なかった。ただ、ステータスは完全な魔力よりで、近接戦闘はあまり得意では無いようだ。念のために護身の意味を込めて『棒術』を学んでもらっている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

職業 『魔導姫』

ランク S

恩恵1 魔導の能力に補正がかかる。

恩恵2 スキル『全属性魔法』を習得する。


※魔法の極致魔導を操る職業。レベルに応じて、能力が解放する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スキル『全属性魔法』を習得とか、マジでヤバい職業だな。但し、《影魔法》とか《岩窟魔法》のような、特殊属性は含まれていないようだ。それでも凄いと思う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

称号 『極魔の魔導具師』

恩恵1 エクストラスキル『極魔の魔導具師』を習得する。

恩恵2 制作した魔導具に補正がかかる。

※魔導の極致に至った者が獲得できる称号。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔導具とは、魔道具の上位互換だと思って欲しい。魔道具では不可能だった難解な魔法回路を道具に刻み、高い効果を発揮する魔法の道具である。最近では、アリスから学び俺も魔導を取り入れるようにしている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

称号 『魔導の極み』

恩恵1 魔導スキルの成長補正。

恩恵2 魔導スキルの経験値上昇。

※魔導の極致に至った者が獲得できる称号

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


皆も同じだったけど、この補正が有ると無いとでは全然違う。この補正は本当に大きい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ユニークスキル『心滅の魔導書グリモワール

ランク UC

能力1 魔法を登録する

能力2 登録した魔法を発動する

*魔導の全てがココにある。目覚めて間もなく大部分の能力は未だ目覚めていない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔法登録は、魔導書に《魔法回路》を登録することで、登録した魔法を自在に発動する能力である。魔法の知識が無いと意味をなさないスキルだけど、大魔女のアリスが持つと、このスキルは激変する。既に魔物の戦闘で有用性を嫌と言うほど見せられているからね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エクストラスキル『極魔の魔導具師』

ランク EX

能力1 創った魔導具に補正がかかる

能力2 魔導具作成に必要なスキルが全てそろっている。

※ 王に認められた魔導具師が習得するスキル

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔導具作成をアリスに任せた理由がこのスキルである。俺が作成するよりも、アリスが創った方が性能も高いので任せることにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スキル 『全属性魔法』

ランク AAA

能力1 全属性魔法の魔法を習得する。

※特殊属性以外の魔法を習得する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


火、水、風、土、光、闇、空属性の魔法を使えるようだ。特殊属性は使えないようだけど十分だよな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スキル 『融合魔法』

ランク S

能力 複数の属性を融合させる。

※扱いは非常に難しいが、新たな属性を造りだせる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


融合魔法はアリスの真骨頂である。難しい魔法の融合を巧みに扱い発動する。それに加え、魔法登録をすることで自在に扱えるのだから本当に心強い。


火と風で爆発、風と水で雷とかね。魔法回路にすると、何重にも魔法陣を展開して可能とする魔法を登録しているので、一瞬で発動しているんだよ。ヤバいだろ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スキル 『魔導眼』

ランク S

能力 魔力の流れを詳細に視ることが出来る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんと! 鑑定無しに相手の魔法適正を視てとれるんだと!? 何でも、魔力の性質まで『魔導眼』で視えるらしい。俺も視てもらったんだけど、色々と混じっていてよくわからないと言われた…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る