第24話 決着
ー-意識が覚醒する。気を失っていたのも一瞬のようで、鬼はまだ動いていなかった。
ガン ドン ドン ガン!
『!?』
俺は難なく攻撃を防いで見せる。急な俺の変わりように鬼は驚愕している。そりゃあ、急に《呪力》のみで攻撃を防いでいれば驚くよな。アークライトの経験が身体を駆け巡る。
ゴン! ガガン!! ドゴーン!!
ふぅ~ようやくまともに攻撃が入ったな。
アークライトの経験は俺の未熟だった技量を底上げした。アークライトの思いと一緒に駆け巡り、俺を造り変える。さっきから頭の中に響き渡る声を無視して鬼を追い詰める。
鬼はみるみるうちに体力を減らしていく。このまま…行く分けないよね…
『ギャガッ!』
これが本来の力かよ! 何だよそれ! ぶつかりあった拳が拮抗する。同等の力…まぁ、アークライトは俺が使うより、段違いに強いけど…
黒鬼を纏う黒い呪力が鎧となり、どこからか黒剣を取り出し構えた。ここに来て本気で殺しにくるようだ。黒鬼にはさっきまでの余裕が一切感じられない。ここが勝負時だった。
黒剣は《呪力》で強化した俺の身体を斬り裂いた。その瞬間に激痛が全身を駆け巡る。『激痛耐性』が機能していない? 俺も負けじと展開した『竜鬼魂装』と《覇闘鬼》を発動して迎え撃つ。
戦場ではお互いに鮮血が舞った。そんな凄惨な光景なのにもかかわらず互いの顔は何処か楽しそうに映っていた。
〈ーーアイリス視点〉
本当はキョウスケ様をお止めして、撤退をするべきだとわかっています。それなのに止められない。主のあんな楽しそうな顔は初めてみます。
「あれは無理じゃ。儂達は戦いの終わりを見守り、最後の結果次第で命をかけて主を守る。それだけじゃ。」
ーー私達は弱い。この戦いで嫌というほど思い知らされました。本来は王であるキョウスケ様には後方で構えていて欲しい。ですがキョウスケ様は誰よりも最前線で一番危険な役割を率先して引き受ける。
私達の力不足というのもあります。ですが、一番大きい要因はキョウスケ様は気づいていなさそうですが、キョウスケ様はどうやら戦いを好む傾向があるようです。それも強者との戦いをです。
それが今回の戦いで大いに伺える。
〈ーー恭介視点〉
「はぁ…はぁ…負けてられないんだよ!」
【
ゴオオオォォーーー!!!!
黒く燃え上がる炎が黒鬼を燃やす。
グラッ! ザシュッ!!
黒鬼が黒剣を振るう。その一刀は滅びの炎を斬り裂き消滅させた。
「穿て!」
【
「堕ちろ!」
【
「斬り裂け!」
【
「捕らえろ!」
【
「ハァ、ハァ、確実に奴を倒すには足りない。」
水の竜槍で貫き、黒い雷を落とし、風の刃で斬り裂いた。その上で氷で捕らえたが出て来るまでにそう時間はかからないだろう。何処まで、出鱈目な奴だよ!
時間が無いーー
パキリ・・
アークライトから引き継いだ竜鬼核は俺の核と融合して成長した。アークライトの経験を引き継いだ今の俺であれば扱えるはずだ。と言うかそれしか倒す方法が見つからない。
竜鬼核に《覇》の力を注ぎ込む。
「ーー暴れるな!!」
極限の状態で溢れ出した力を力ずくで身体に留める。これは長くは持たないな!
【ーーエクストラスキル『覇王の導』が発動しました。[覇竜]が解放されました。】
バキバキ バキン!!
黒鬼は氷の中で黒剣に《呪力》を集中させていた。どうやらこの一撃で俺を殺すつもりのようだ。どうやらお前も考えは一緒と言うことだな。受けて立つ!!
両者が同時に動き出し剣と拳がぶつかり合った。衝撃がダンジョン内に走った。
ニヤ…
「本当に最後まで楽しそうだな。これで最後だ! 全て持ってけ!!」
最後の最後にキョウスケの拳から黒いオーラで具現化した黒龍が放たれ鬼を呑み込んだ。当の本人は全くその事に気づかずその場で膝を地面について回復するのに必死だった。
【ブラックゴブリンエンペラー異常種を討伐しました。称号『ゴブリンキラー』を獲得しました。】
【恭介のレベルが35へ上がりました。職業『ダンジョンシーカー』のレベルがへ6上がりました。スキル『解読』『トラップツール』を習得しました。】
【ーーユニークスキル『
ー-強敵だった。アークライトに出会えていなければ勝てなかったかもしれない。
気合を入れて立ち上がるが足元がふらつく。すかさずアイリスが身体を支えてくれた。
【フロアボスの討伐を確認いたしました。討伐報酬が贈られます。】
レベルが17も上がった。ブラックゴブリンエンペラー、それもレベルが50以上の魔物を倒したらレベルも上がるか? それに、ブラックゴブリンエンペラーの《呪力》をウロボロスが喰らった事で大量な《呪力》が《還元》待ちになっている。
ブラックゴブリンエンペラーのドロップ品が《ブラックゴブリンエンペラーの眼球、牙、角》《レシピ-呪剣製法》《黒呪剣-ペインエンペラー》だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鑑定結果 『黒呪剣-ペインエンペラー』
ランク 伝説級
能力 『激痛付与』『自己進化』『不壊』
※呪力を込めることで、攻撃力が上昇する。
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これはブラックゴブリンエンペラーが使っていた黒剣だ。俺の身体を容易に斬り裂いていた剣でもある。伝説級…初めてのランクの武器だった。
次にフロアボス報酬は
「回収も終わったから4階層に下りて戻ろうか?」
異論が上がらなかったので、4階層に下りることにした。
・・・・・・どうなっているんだ?
「ダンジョンから出れたのかな?」
階段を下りたら、周り一面に森が広がっていた。
「マップには4階層と出ているので、どうやらここはダンジョンで間違い無いのようです。」
「・・・本当だな。4階層は森のダンジョンということか。探知でも多くの未知の魔物の反応もあるな。気になるけど、一旦戻って休もう。」
「それがよろしいかと。」
「賛成じゃ!」
ゆっくり休んだ翌日、再度二人には集まってもらっていた。
「休んでいるところ集まってもらって悪いな。二人に渡したい物があったんだ。アイリスには〈スキルの書-闇魔法〉〈ブラックゴブリンエンペラーの魔石〉,バラゴスには《ブラックゴブリンエンペラーの素材》と《レシピ-呪剣製法(解読済み)》を受け取って欲しい。否は認めないからな。」
「ありがとうございます。今回の事で力不足を感じていました。この力は有難く使わせて頂きます。」
「なるほどのう。《呪剣製法》《ブラックゴブリンエンペラーの素材》で新たな武器を造れということじゃな。」
「まずはアイリスの短剣の強化とバラゴスの斧の強化を頼む。俺は〈黒呪剣-ペインエンペラー〉でしばらくは大丈夫だ。ただ、バラゴスの武器の方が手に馴染むからいずれはお願いしたいけどね。」
「わかっておる。ただ今の鉱石では主の力に耐えうる武器は造れぬ。この先のダンジョンに期待したいところじゃな。」
ダンジョン探索は20日後にした。今回の探索で各々が思うところがあったようで、時間を空けることにしたのだ。
◆称号『救世の魔王を継ぎし者』
恩恵1 救世の
恩恵2 呪いの効果を打ち消す
※救世の魔王の意志を継ぎし者に与えられる称号
◇
◆称号『ゴブリンキラー』
恩恵1 ゴブリン種への攻撃に特攻効果が付与される
恩恵2 ゴブリン種に恐れられる
※ゴブリン最上位種族を討伐した者に与えられる称号
◇無条件で攻撃に特攻効果が乗るようだ。レベルが低いゴブリンは寄ってすら来なくなった。
◆スキル『救世と破滅の鬼帝』 ランクEX
・《栄光》と《破滅》を操るスキル
・《黒呪纏鎧》を発動する
※《栄光》の効果でデメリットが無くなった。
◇《栄光》は〈光の因子〉を《破滅》は〈破壊の因子〉を操る。《黒呪纏鎧》には〈狂喜〉効果があり、その効果は《栄光》によって打ち消された。
◆スキル『羅刹眼』 ランクEX
・全てを見通す鑑定を発動する
・あらゆる力を識別できる
・動体視力が向上する
◇鑑定と覇眼が合わさったスキル。鑑定能力の向上に加え、力を色で視覚できるようになった。動体視力は黒鬼の本気の動きを追える程に向上した。
◆スキル『竜鬼法』 ランクEX
・竜鬼法を覚える
※アークライトが古代魔法を元に〈竜〉と〈呪〉を組合せて開発した究極な魔法
◇アークライトは天才だった。技術を引き継いだにもかかわらず、俺には竜鬼法を使うことはできるけど理解することは出来なかった。
◆スキル『怪力』 ランクC
・筋力を増強させる
※アクティブスキルでレベルに応じて効果が向上する
◆スキル『解読』 ランクB
・あらゆる言語、暗号を解読する
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