Third Wheel〜恋人のアルファがぽっと出のオメガと番だったベータの話〜
@UpLuckHeaven
第1話 アルファとベータのカップル
この世界は男女の性の他に第2の性がある。
男女共にアルファ、ベータ、オメガの3つに分類される。
アルファとオメガは人口の役2割、後の8割りはベータに分類され、アルファは主に有名な政治家や上場企業の偉い人、優秀なセレブリティな人々に多い。
そんなアルファは男女関わらずオメガを妊娠させることが出来る。オメガはアルファとベータを妊娠させることは出来ないが、3ヶ月に1度の周期で発情期が現れその期間に性行為をすると100%妊娠できる。またその発情期期間中の性行為の最中にアルファがオメガの項を噛むと番になる。番はアルファからしか解除は出来ず、解除されたオメガは精神衰弱の末死に至る。
そんなアルファとオメガには奇跡的な確率で互いの遺伝子の相性がいい運命の番がいる。相性がいい故に互いに惹かれ合い出会ったなら必ず互いを求め合うという逸話付き。
信憑性はどうにしろ、一生に出会える確率は少なく、その神秘性から人々は物語にしたり曲にしたりとロマンを語り継いできた。
けれど、僕、平田莉桃(ひらた りと)はごくごく一般的かつ平均的な男型ベータ。
そういうロマンスはあまり興味がないし、信用していなかった。
なぜなら、
「おはよう、莉桃」
「おはよ、叶芽(かなめ)くん」
僕に声を掛けてくれたこの、顔のいい男は源道叶芽(げんどう かなめ)くん。
叶芽くんは誰が見ても疑わない紛うことなきアルファだ。僕と叶芽くんが通う学校の生徒会長をしている僕の幼馴染。
「莉桃、おはようのハグ」
「えっ!」
両腕を広げてニッコリ微笑む叶芽くん…。
「今じゃなくても、学校についてから、人目のないとこでじゃダメ?」
「キスじゃハードルが高いって莉桃が言うからハグにしたんだ。これ以上の譲歩はしない約束だろ」
「うぅん」
「それとも、莉桃は恋人の言うことは聞けない?」
「…3秒だけ、こんな人いっぱいなのに…恥ずかし、うわっ」
「可愛いやつめ」
叶芽くんは思わずというように僕に抱きついてきた。
恥ずかしいけど嬉しい。
出会って12年、僕たちは一昨日幼馴染兼恋人同士になった。
「ねぇー!もう3秒過ぎた!!学校遅れちゃう!!」
「もう少しだけ、莉桃が手繋いでくれたら「ほんとに!こ、これ以上は恥ずか死ぬ…から、、続きはほ、放課後、ね?」
顔が真っ赤になってるのが分かるくらい顔が熱い…。ドキドキで死にそうな僕は頭1つ分高い彼の顔を見上げて必死に訴えた。
「…莉桃ほんと、お前そういうとこやぞ!!」
「なんで急に関西弁?ちょっ!手!」
「いいだろ、これくらい、りーと?」
少し強引な彼が好きな僕は真っ赤になって頷くしかできない。彼に手を引かれながら僕らは学校に歩き出した。
アルファとオメガの逸話なんか信じられない。それくらい僕らは長い間お互い片思いをしてやっとの事で付き合うことが出来たんだ。
惹かれ合うことがないアルファとベータが惹かれあって付き合うことが出来た。
僕はこれこそこれ以上ない運命だと思ってた。
そう、思ってた。
彼が現れるまでは。
Third Wheel〜恋人のアルファがぽっと出のオメガと番だったベータの話〜 @UpLuckHeaven
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Third Wheel〜恋人のアルファがぽっと出のオメガと番だったベータの話〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます