第24話 お風呂回

 さて、俺はご先祖様にタオルとバスタオルと着替えをもたされると、


「ほれ、風呂はいってこい」


 と浴室に連れていかれた。

 なるほど広い浴室だ。

 で、普通に一人で髪を洗い、体を洗い、湯舟に浸かってふーいい気持ち、うん、じゃ、あがるか……。

 ん? 

 これでおわり?

 まてーい!

 え、まって、まじで待って。

 これ一人で風呂入っただけじゃん。

 普通お風呂回とかいったら肌色成分多めの女の子がきゃぴきゃぴ、謎の湯気やら光線で大事なところは隠しつつラッキースケベじゃないの?

 女の子同士が『きゃー胸がおっきくてうらやましー』とかいいながらもみ合ったりいちゃつきあったりするんじゃないの?

 なんで汗臭い男子高校生が一人で風呂入っただけでおわってるの?

 …………。

 ………………。

 ……………………。

 



 あー。




 うー。



 えー。


 

 …………。

 

 

 ごほん。



 ………………。



 湯冷めしそう……。



 え、まじか。



 

 桜子でも入ってこないかなーと思って1ページほどちょっと待機してみたけど、誰も来ない。


 さみし……。


 しょうがないから更衣室で着替えを着て……って、あれ、これ、着替えっていうか、ただのサーフパンツ一枚……?


 着替え、これしかないの?

 しょうがない、とりあえずこれをはいて……。

 と、そこにお待ちかね!

 

 バーン! とドアを開けて女の子が入ってきた!


 待ってた!

 本気で待ってた!

 これでお風呂回終わりだったら泣いちゃおうと思ってた!


「じゃーん! どやっ」


 そしてやってきたのは、赤いバニーガール姿のご先祖様だった!

 ハイレグ網タイツに真っ赤なピンヒール!

 ありがとう!

 そして意味わからん!


「なんでバニー姿なんですか」

「あたしはウサギが好きやからな。あと自分を着飾るのが大好きなんや。あたしかわいいからなー」


 かわいいのは否定しない。

 あとまー普段着ているのがフリルとレースがフリフリの甘ロリータファッションだからなー。

 こういうちょっと変わった格好するのが好きなんだろう。

 しかし、こうしてみると、ご先祖さまってわりと背が低いな。

 俺より頭一つ分以上低いぞ、、まー身長150センチくらい?


「似合うやろ?」


 ご先祖様がニヤリと笑って小首をかしげると、ショートカットにした黒髪から生えている長いウサミミが揺れた。似合う。

 ご先祖様って本人は身体年齢十八歳とはいっているけど、小柄なせいか中学生くらいにしか見えない。

 お胸のほうも実にこじんまりとしていて、バニーの衣装がカパカパでちょっとかがみこむと全部見えそうだ。

 ふむ、かわいい。


「ふふふ、わがかわいい子孫、慎太郎よ。さっき、女の子が登場するのを1ページ分くらいまってたやろ?」

「見てたんだ……恥ずかしすぎる……」

「間抜けな顔でかわゆかったぞ。さすが我が子孫。そおゆうところが愛おしくてしょうがないんや。さて、ちゃんとあたしが登場してやったぞ! よし、じゃあ慎太郎よ、そこの台の上にうつぶせになれ」


 あ、これマッサージ台か。

 顔のところが開いてるやつ。

 ただの風呂のカゴ置きかと思った。


「ご先祖様じきじきのオイルマッサージでマPを最大値まで回復させてやる!」


 あ、やべ、オイルマッサージなんてやったことないわ、これはちょっと楽しみ。




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