第7話 新世界
ご先祖様がこう言い出した。
「よっしゃ、じゃあわがかわいい子孫、慎太郎よ。ここのダンジョンマスタ―の地位をお前にゆずろう」
「なぜに突然?」
「あたしの血筋をうけついでる子孫だし、鬼の力も発現しとるし、正当な後継者にふさわしいでしょ。そろそろあたしもダンジョンごっこ飽きてきたしね。ちょっと広い外の世界に出て旅でもしたい」
「どこいきたいんですか?」
「551の豚まん食べたり、日本橋にいって男の子同士がいちゃついている本を買いたい」
「世界が狭っ。旅どころか新幹線ですぐですよ」
「新世界にもいくから大丈夫。世界を股にかけてるわ」
「じゃあまずそのエセ関西弁はやめたほうが……」
「せやろか? まあ旅に出るのは、まずかわいい我が子孫である慎太郎を殺そうとしたあのパーティをやっつけてからやけどな」
「でもあいつら強いからなあ……。和彦は一度
ほのかさんもうなずいて、
「そうですよ、ほかのダンジョンならともかく、このダンジョンはアンデッドキング様が呼び出したアンデッドしかいないじゃないですか。相性が悪すぎですよね」
僧侶や司教などのクレリック系職業は、“解呪”という能力が使える。
その名の通り、アンデッドモンスターにかかっている呪いを解いて、土に戻すという、アンデッドモンスターにとっては悪夢のような能力だ。
しかも魔法とかと違ってMPを消費しない。
つまり無限に使いたい放題。
和彦たちのようなクレリック系パーティにとって、ここのアンデッドダンジョンはまさに狩場だったんだ。
「そう思うやろ? でも、さっきこの慎太郎の力を見たらわかったんや。これは余裕で勝てるで。だってこのダンジョン、解呪無効のモンスターだってごく少数だけどいないことはない。でもラスボスのあたしがいるところまでパーティは潜ってこられた。なぜか?」
ほのかさんが答える。
「……慎太郎君がいたから?」
「せや! あいつらおごり高ぶっているみたいやが、そもそもあのパーティの強さを下支えしてたのは慎太郎やったんや。それをリンチして追放したんだから、それなりの報いってやつを受けることになるな。だからな、慎太郎が抜けたあのパーティなんて、余裕でこうや!」
といって、ご先祖様は自分の首をサムズアップした親指でビッ! とはじいた。
その拍子に乳首みえたわ、ラッキー。
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