第6話

 同じ頃、ミシェルは子爵家一門の集う席に出席していた。


 早速グレイ一家の姿を探す。居た。家長である子爵を先頭に屯している。ミシェルはゆっくりと近付き、


「おじ様、ご無沙汰しております」


「おぉ! これはこれはミシェル嬢! しばらく見ん間にエラい別嬪さんになったものだな!」


「まぁ、おじ様ったら。お上手ですこと」


「やぁ、ミシェル。久し振りだね。しばらく会わない間に本当にキレイになったね。君の婚約者に嫉妬してしまいそうだよ」


 そこへグレイがやって来て歯の浮くようなセリフを並べる。するとミシェルは態度を一変させ、


「グレイ、あなた良くも私の前に顔を出せたもんね? あなたには常識ってものが無いの?」


「えっ!? えっ!?」


「サブリナが私の親友だってあなた知らなかったでしょ? 良くも私の親友にあんな酷いことをしてくれたわね! 恥を知りなさい恥を!」


「あぅ...おぅ...」


 ミシェルに激しく糾弾されたグレイは言葉を失った。


「お、おい、ミシェル嬢! これは一体どういうことなんだ!? グレイのヤツがなにを仕出かした!?」


「おじ様、実は...」


 ミシェルは事の次第を子爵に説明した。それを聞いた子爵は顔を真っ赤にさせて激怒した。


「貴様ぁ! なんということを! この恥知らずがぁ!」


「ブヒャァッ!」


 子爵は思いっきりグレイを殴り飛ばした。


「貴様のような輩とはもう親でもなければ子でもない! 勘当だ! どこへなりと行きさらせ!」


「そ、そんなぁ! お、お父様ぁ~!」


 グレイは情けない悲鳴を上げて父親に縋り付いていた。



◇◇◇



 その後、妹に甘かったサブリナの両親は、さすがに今回の件は容認できなかったのか、厄介払いするようにコリンナの縁談を纏めた。


 コリンナの意思を無視する形で強引に進めた。相手はコリンナより30も歳上の伯爵で、コリンナは後妻として嫁ぐことになる。


 後妻なんてイヤだと散々ゴネたコリンナだったが、イヤなら勘当すると言われて渋々従った。


 一方、ミシェルの両親は今回の件を重く受け止め、カミラを後継ぎの座から外し代わりにミシェルを据えようとしたが、ミシェルの方が断った。ミシェルの両親はとっくの昔に実の娘から愛想を尽かされていたのだ。


 そしてミシェルはさっさとイアンの元に嫁いで行ってしまった。残されたカミラには悪い評判が立ったせいで、縁談の話が来ることはついぞなかった。



~ fin. ~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

姉の物をなんでも欲しがる妹、妹の物をなんでも取り上げる姉、それぞれの末路は 真理亜 @maria-mina

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ